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ナルミの産地訪問紀~丹波・氷上編~/高級食材の宝庫!丹波のヒミツ

和菓子の材料と聞いて、多くの方はいの一番に「小豆」思い浮かべられる事でしょう。「赤いダイヤ」とも呼ばれるこの小さな穀物は、様々な形で和菓子に利用され特に「餡子」は用いられた菓子の味を大きく左右し、それがそのまま「店の味」として認識されます。もちろん「餡子」の味は小豆の品質に寄るところは大きく、いかに質の良い小豆を仕入れられるかもまた、その店の実力に直結するのです。

そんな小豆の中でも最も好まれるのが「丹波大納言」と呼ばれる品種です。その名の通り丹波地域で主に栽培されている品種で、古くは幕府や朝廷への献上品としても珍重されていました。色・風味・大きさ、どれをとっても他の小豆を凌駕する正に「小豆中の小豆」とも言える品種です。

今回は、そんな「丹波大納言」の発祥の地であり一大産地を擁する丹波市氷上へ向かいました。

丹波・氷上へ

丹波市氷上は京都からの直線距離約70km、加古川水系及び由良川水系の最上流に位置する兵庫県内陸部の町です。市名は旧律令制「丹波國」に由来し、周辺は農作物の栽培に適した「氷上回廊」と呼ばれる長い低地帯が広がっており、小豆の他黒豆や丹波栗など多くの作物の栽培が行われています。

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JA丹波ひかみ本店へ

京都縦貫道から舞鶴若狭道を経て車に揺られる事、約2時間。氷上ICを降りて道なりに行くと、目に入る立派な小豆色の建物が「JA丹波ひかみ本店」です。こちらの本館では主に金融部門が入られているそうで、今回はお世話になる営農経済部が置かれている別館にて、本年度産「小豆・栗」の作況と本日のスケジュールをレクチャーして頂きました。

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作物の選抜試験会場「選果場」へ

まず、案内されたのは収穫した作物を選別する「選果場」と呼ばれる施設。JA丹波ひかみ本店から車で10分ほどの場所にある建物で作業が行われています。

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丁度、訪問前日に大量の栗が収穫されたようで、沢山の方が作業に追われておられました。

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今年の作況は、台風が少なかった事から収穫量自体は多いものの、盆期の雨量が少なかった影響で中粒が多いとのこと。作業場には選別済みの栗が山積みになっていましたが、小粒の物が多い印象を受けました。

この選別で選び抜かれた栗が全国へ発送されます。ちなみに、今回見せて頂いた「選果場」の稼働は本年度で終了し、新たに稼働する「特産センター」に機能移転されるそうです。

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「拾う栗」から「植える栗」へ

選果場を後にして、次に栗の栽培が行われている圃場へ。案内して頂いた圃場では「国見」や「銀寄」「筑波」と言った早生・中生種*が多く、全体の9割近くは収穫が終えられていましたが、晩生種の木も数本植っており、ゲンコツほどの大きさもある毬栗が風に"ぶらぶら"揺られていました。

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JA丹波ひかみでは5年ほど前から「拾う栗から、植える栗へ」をテーマに丹波栗の栽培に力を入れてこられ、剪定や肥料の撒き方など試行錯誤の末、初年度に植えられた幼木が漸く良い実を付けるようになってきたそうです。物になるのはまだまだこれからだと思いますが、伸び代はまだまだ十分にあると感じました。

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「丹波大納言発祥の地」

栗の視察もそこそこに最後は今回の目的地、小豆の圃場へと足を向けます。栗の圃場からは近く、車で5分ほど。今回は「種子用圃場」つまり来年収穫される小豆の親を栽培されている圃場に案内いただきました。

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今年の小豆は梅雨が長引いた影響で種蒔が遅れた為、当初は発育が危ぶまれていた様ですが、天候が例年よりよかった事から品質は問題ないだろうとのことでした。

背丈もそこそこにあり、葉をめくると小豆の鞘がジャラジャラと音を立てて姿を見せます。

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所々に花をつけている物も見受けられましたが、今咲いている物は実をつけても収穫時には未熟粒になり成長しないんだとか、なんとも繊細な植物であるか改めて感じました。

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収穫に至るまでは、少しばかり時を要する様ですが、なんとか無事に育つ事を祈りながら帰路につきました。

氷上の地に幸多かれ。

今回の訪問を通じて、良質な農産物が届くまで多くの人が関わっている事を改めて知る事ができました。特に氷上の地は情熱を持った生産者さんが多くおられ、その様な作物を使わせて頂いている事に大きな喜びとまた責任を感じました。

これからも、これら良質な材料を使った商品作りを通じて、産地を応援すると共に交流を通じた信頼関係の構築、意見交換による原材料のさらなる良化に取り組んで行こうと思います。

最後に、今回ご案内いただきましたJA丹波ひかみの皆様と機会を設けていただきました市川商店さまに多大なる感謝を申し上げる次第です。

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