そんな毎日

別れたいわけじゃないの
ただ、隣にいるのが辛いだけ

好きの裏返しでそうなのか
それとももう潮時なのか

それさえ分からないくらい
気持ちが疲弊してる

はじめはただの口喧嘩だった。いつもなら一晩寝れば解決するような。だけどそのときはそうはいかなかった。喧嘩の発端ってなんだっけ?思い出せないくらい些細なものだった気がする。
そんな些細な言葉の欠片に崩されてしまうほど私たちの関係は不安定だった。

「少し距離を置かせて」

先に口を開いたのは彼の方だった。
あぁ終わった、そう思った。
為す術もなく一日二日と日は過ぎた。
お互いに家を離れて、行く宛を探りながら点々とした。

彼のいない日々は淡々とすぎた。ぽっかりとした穴があるような、ないような。なかなか会えなかった友人と会って朝まで話したりもした。

「で、最近彼とはどうなの」

はじまった。聞かれるとは思ってた。堰を切ったようにわたしは彼の愚痴をこぼした。同時に涙が溢れてきた。
友人は肩を竦めながら笑った。
その理由は私にもわかっていた。
私はまだ、彼のことが好きなんだ。

口から溢れる言葉をそのままに、友人とは一晩語り尽くした。
翌朝、少しだけ腫れた目を指で冷やしながら家に帰った。

あ。

玄関で向かい合わせに立つのは彼と私。
大人気ない家出をした私たちの終わりはなんともあっさりしていた。私たちの喧嘩の始まりのように。

「帰ろうか」

「うん」

「コーヒー入れようか」

「わたしミルク多めで」

これでもいいのかな、これでもいい気がする。
息を吸うように喧嘩をしたら
息を吐くように元に戻ればいい
それでいい、その方がいい。

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