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よっしゃ、やらんかい

「まだ燃えん」
「兄ちゃん、燃えるって。檀山(だんやま)行こう」
道あかりのない山道を、軽トラのライトが照らす。夜桜が風に舞い、高松の夜景がうっすらと見える。気散じの一服をしながら、砂川さんは乗せてくれた兒島さんに何を語ったか。1999年統一地方選挙の最中。1,200人の豊島から38,000人の小豆島選挙区へ名乗りを挙げ、自民党系2議席の香川県議会へ無所属新人の挑戦。

半月前、砂川さんは「県会議員の選挙をやりたいと思う。どうじゃろか」とこの人なら賛成してくれそうな家々を回った。
「やらんかい、すぐ事務所作れ」
「急ぐんじゃろ、誰出すんじゃ?」
勢いがついて候補者なき選挙事務所を開いた、勝手連17名。39歳独身の百姓の男に目をつけた。連日小豆島へ、30人から50人体制で無茶苦茶な選挙運動をやった。でも、豊島の人は思うように燃えない。
「よっしゃ、やらんかい」
豊島の廃棄物を認可した県が誤りを認めるまで。

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