麦茶かき氷IMG_2196

とびきり濃く煮出しても

8月のある週末、豪華客船が高松港に入港した。横浜を出発して徳島の阿波踊り、高松の花火をみて横浜へ戻るツアーで、毎年寄港する。まるで長さ100mもあるマンションが移動しているかのように見える(正確な全長は241m)。この日、サヌキノ了見がお接待させていただいた。

目玉はふわふわかき氷。

氷は透明度の高いものを製造元から仕入れ、シロップは3種。スイカ、トマト、醤油だ。旬の果物と地場産品の醤油という物珍しさもあって、行列は途切れない。「あら、おいしいわ」と、思いがけずという意を飲み込んだ感想が隣り合った席同士の会話を和やかにする。

市販のシロップにはない、さっぱりとした甘さ。ハーフ&ハーフもできるし、氷がちょっと余ったからシロップをかけてというリクエストにも気軽に応じて、一瞬の清涼感が伝播していく。

早々と品切れとなったのはスイカ。味見をし損ねた。トマトは濃厚で甘く、その意外性からも次いで人気。最後は氷がなくなっておしまい。用意しておいたカップに、急きょ100個追加した分も出た。


土地の名産を味わってほしいと、シロップを研究した甲斐があった。豊島産の果樹シロップが好評で、客様の反応に提供する側も味をしめた。かき氷や炭酸ソーダ割りのメニューに載せながら、次の目玉を探していた。

琴平町の隣は茶どころ、高瀬町。高瀬茶を使ってかき氷にならないかと、試作研究を始めた。ほうじ茶を濃く煮出して、1リットルの角型容器に入れて凍らせる。ほうじ茶そのものを削った氷に、何をかけたらおいしくなるか。

讃岐三白のひとつ、和三盆はオフホワイト色のさらさらとしたパウダー状。口の中にふわっと広がる甘さは上品でいいけれど、氷に掛けるそばから溶けてしまうのが残念。

抹茶パウダーと練乳は王道の組み合わせ。つぶあんも欲しくなる。抹茶は高瀬茶、つぶあんなら、あの「と○や」の社長が製造見学に訪れるくらいおいしくて誠実な製造元がある。つぶあんときたら生クリームもいいね、と秋を見越して鯛焼きの構想もふくらませながら、試作は続く。

最後までネーミングで悩んだものの、あっさり「醤油」という名前に落ち着いたシロップは、甘辛のみたらし風。これが、了見の店頭では王冠。


そして、秋の気配と残暑が入り混じったこの時期、3番手に売り出し中は写真の「麦茶」。アイスコーヒーより香ばしく、甘みをひかえた練乳で後味すっきり。夜な夜な濃く煮出してストレートな濃縮液を製造。ノンカフェイン、おまけにどれだけ濃くだしても、渋みや苦みがでない。

季節商品につき、いつまでと申し上げられませんが、注文は、入口の呼び鈴を鳴らしてください。

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