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存命中に池袋のセゾン美術館で見たワイエス

セゾン美術館が池袋にあった頃のチケットが手元にあります。当時はワイエスも存命でした。アメリカの作家は珍しいなあ、と思ったことを覚えています。タイトルのヘルガは、何作品があったような気がします。

時を経て高松に暮らすようになり、丹下健三の香川県庁からデザイン知事と呼ばれた金子知事の手腕を追いかけ、香川とアートのつながりが身近になりました。そういえば、造形専攻でした、わたし。学生時代に見聞きしたことが今になって立ち上ってきます。
学生割引で美術展巡りをしたチケットやポストカードを見ると、好きな作家や作品は今も変わりません。そこにモネが加わりました。2017年、オランジュリー美術館を訪ねた時からです。

豊島(てしま/瀬戸内海)で、ミレーの晩鐘に生き方を導かれたという話を聞きました。豊島農民福音学校を開いた藤崎盛一が、著書「農民教育五十年」に書いています。

ーこうしたある日、私はミレーの“晩鐘”の絵を見て異常な感銘を受けた。あの働く農夫婦の敬虔な祈りの姿、そして美しい日暮れ時。こんな美しい人間の姿があるだろうか。これこそ人生最大の崇高な終局の美ではなかろうか。ー(「農民教育五十年」より一部抜粋P8)

農民教育五十年

生涯をかけて神に祈った藤崎が、豊島から根を広げた福音。暮らしの立体化を目指した農民福音学校についてご子息が語る時、ミレーの晩鐘が傍にあります。わたしにとってのワイエスとは。

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