公務員試験の「信頼」って?
公務員試験対策についても担当しています。
私の担当科目は「財政学」「地方財政」です。
科目自体が公務員の出題範囲でもありますし、内容もわかりやすくいえば、ほぼ「政府の経済学」(公共経済学という分野とも近い)ですので、気が付けば公務員試験対策が担当分野の1つになってきました。
もともとは八戸学院大学時代に赴任してすぐさまゼミを持つことになったのがきっかけです。八戸学院大学はスポーツ学生も多いので私の資格の一つ、FP(ファイナンシャルプランナー)3級合格をゼミの目標にしたのでした。八戸学院大学の意欲のあるゼミでは簿記3級かFP3級かを合格目標にしていました。
このうち、FPの内容については別の機会にまとめようと思いますが、FP3級を3年生でとった男子学生が八戸市庁の内定をいただいたのです(なお、八戸市は八戸市役所ではなく八戸市庁といいます、ただし、調べたところ、それほど「市庁」に深い理由、こだわりもないようです)。
その学生はスポーツ部出身でしたが3年次より公務員試験受験に切り替えて就職予備校にも通っていたので、彼からいわせれば努力による結果といえば結果なのですが、就職氷河期世代の私は驚きました。現役の大学生時代に公務員という進路の選択肢もほぼなかった私にとっては(その後の大学院時代には公務員試験合格した知人の学生はいましたが)、口ではいうものの、公務員試験ってポイントを押さえれば合格するものだと初めて実感したのです。合格のポイントの考察はまた別の機会に。
それ以来、公務員試験についても考えるようになってきました。その後、数年間は青森明の星短期大学でキャリアを中心に担当していました。短期大学は公務員受験では「初級」になります。むつ市などを中心に初級の公務員内定者を送り出してきました。公務員受験でも必要不可欠な経済学の勉強を深めようと青森市民は学費の安くなる青森公立大学大学院でさらに勉強を深めます。。。そうした経緯もあり、公務員試験勉強ではいっぱしのアドバイスができるようになってきています。東北福祉大学では4年制大学なので、公務員のうち「地方上級」(県)と「市役所」が中心ですね。
さて、今日の本題ですが、公務員試験の過去問、とくに論文を見ていると傾向がありますね。たとえば、一時期は「コンパクトシティについて」が流行ったり、最近は「働き方改革」ですね。こんな感じの作文課題です。
教養を問う教養試験が統一的な内容になるために、論文試験や集団討論のテーマはそれぞれの自治体の独自色が出たものとなっています。そんななか、気が付いたのは「信頼」というキーワードです。
「信頼」と公務員について、くわしくは後期の授業「現代社会と経済」のなかで学生さんに考えてもらおうと思いますが、ここでは、いくつかその授業準備で参考にしている文献を挙げておきましょう。
第3章の「経済システムにおける信頼」では政府への信頼、アダム・スミス『国富論』の分業からジョージ・アカロフの「レモン市場」という市場の信頼について整理されています。第1章「信頼の経済学」のゲーム理論の「シグナリング」も就職活動における自身のブランド化に有用かもしれない。信頼についての経済現象をプリンシパル(依頼人)・エージェント(代理人)問題としてモデル化している点が興味深い。
信頼・規範・ネットワークからなるロバート・パットナムの「社会関係資本」の入門書でありながらも、限界を指摘し、現代社会における政策実践を紹介している。社会関係資本は言葉として教えたつもり/学んだつもりになるが、その実践が難しいだけに、実践の検討も含めて授業のサブテキストに有用だろう。
第4章「信頼」で信頼、シグナリングに言及している。この本の背景にある企業論理を公的機関の論理に翻訳すれば、一定の回答案が書けそうですね。
考察は続きます、、、
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