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3on3のぶつかりあい

2022.12.28(wed) My Hair is Bad presents "アルティメットホームランツアー" w/UNISON SQUARE GARDEN
@ Zepp Haneda

圧倒的技術で音で殴りにくるユニゾンと、心を掴みにくるマイヘアだった。以前ユニゾンの自主企画に対バン相手として参加したマイヘアが、ユニゾンを呼び戻す形で実現した今回の対バン。

斎藤さんいわく、「昔から良いバンドだな、と意識し合う仲だったけど、なかなかきっかけもなく。意識してるけど話しかけられない、中学生の恋愛みたいな関係だった」らしい。

まずは前座のUNISON SQUARE GARDEN。1曲目、初見殺しの"エアリアルエイリアン"で始まり、2曲目、"世界はファンシー"へと続く。My fantastic guitar!のセルフ煽りから華麗なギターソロを披露する斎藤さんはじめ、3人の圧倒的な個の力で、誰にも何も言わせないほどの威圧感を感じた。

「シュガーソングとビターステップのユニゾンね」というイメージをぶっ壊しにきている。最高。最後の方のMCで、「先輩最後まで頑張りますっ」と、笑顔で言ってたけど、エゴと闘志が演奏にモロ出てるのよ。

治安悪めの曲で最初の2曲を駆け抜けて、会場にビリビリとした余韻が残るなか、貴雄のワンツーというかけ声から"桜のあと(all quarters lead to the?)"。(タイトル長)

緊張感が漂っていた会場の雰囲気が、桜ふぶきが吹いてガラッと変わったようだった。一気に華やかな空気になる。ところで、貴雄のワンツーで「あ、桜のあとだ」とわかったわたしは一体…。

"マジョリティ・リポート(darling,I love you)"はとってても久しぶりに聞いた。もしかしたらizzyのツアーぶりでは?

Aメロの小洒落た感じがすごく好きで、ユニゾンの幅の広さを知った曲でもある。「ずっと歌ってきたこのメロディー 飽きないだなんて 金銀財宝級だから!」って、自分たちの音楽を堂々と演奏する姿がかっこ良かった。ライブでキラキラしてるユニゾンが大好きなんだから!

5曲目、楽しい楽しい"instant EGOIST"。「君をストップモーション」って始まるのに、全然モーションをストップできる曲じゃなくてウケる。「ほら足を鳴らしちゃって ほら指を鳴らしちゃって やり様はいくつだってあるよ」って、モーションを煽っちゃってるのウケる。

さんざん遊んで「忙しい人生の隙間で嫌になる度に 呼び出しボタン押していいから せいぜい明日も頑張って!」という言葉をかけてもらったら、多少の嫌なことなんて宇宙の果てに飛んでいっちゃうんだから。

"君の瞳に恋してない"、"シュガーソングとビターステップ"と「ユニゾンといえば」な曲が続き、加速するように"kaleido proud fiesta"へ。走り出したくなるようなイントロのギターと、「祝祭」らしい派手な曲に、高揚が止まらない。

ドラムソロから9曲目、"10% roll, 10% romance"。このまま無限にに演奏しそうなくらいの勢いだった。「お手をどうぞ」という言葉の通り、ユニゾンの音楽に身を任せてしまえば、どこまでも楽しいところに連れてってくれる。

ラスサビに入る前に、田淵か両手を広げて貴雄が応えるように右手を差し出して握手したらしいんですが、わたしは置いてけぼりのギタボを見ていたので見られず(残念すぎる)。しかもその後の歌詞が「take me out 照れながら手を握ったら 金輪際追いつけないとこまで行きましょう」だったので、なんか………結婚しちゃえよ!て感じ。

10曲目、ここできたか"カオスが極まる"!これを聞かずに年は越せぬと思ってたので、無事回収できて良かった。多幸感に包まれた会場が一気に不穏な空気に変わる。音源でもよだれが出るくらいかっこいいので、生カオスはとんでもなくとんでもなかった。

あんまりこんなことないんだけど、ハイになりすぎてなんも覚えてない。始まる時に青?紫?っぽい照明がぐるぐるしてたのと、気づいたら曲が終わってて、「あ、終わりかも」と感じたことくらいしか覚えてない。ちなみに「終わりかも」と思ったのは、ここ最近のフェスやら対バンやらで、カオス終わりのことが多かったから。

そしたらまさかのラスト、"オリオンをなぞる"。これで2022年のユニゾン締められたのめちゃくちゃ良かった〜。

「最後に笑えるくらいの青春を 夢を見て恋をして 呆れ返るような日々を謳う」という歌詞で夢をたくさん見て、「ココデオワルハズガナイノニ」と何度も唱えて今日まで生きてきた。「何度よろけて 倒れたとしても さっき立ってたんだし 立てないわけがないよ」って、どんな頑張れよりも力をくれる言葉がある歌。

聞く度に思い出と思い入れが増えてく歌。最後に演奏してくれてありがとう。「僕がいて あなたがいて それだけで十分かな」って、そのまま返すよ。

ワンマン以外でMCあるの久しぶりだったけど、「前対バンしたときに髪ぐしゃぐしゃにして、『My Hair is Badです』って言ったらめちゃくちゃすべった」という斎藤さんの話と、それを聞いてガハハと笑う田淵が仲睦まじかったな。

敵陣なのにワンマンみたいな空気出しちゃって。あと、貴雄が立ち上がってドラム叩いてるの見て、ドラマーはドラムセットに縛られてなんも出来ないって自分で言ってたのに、自分で呪縛解いた…と思ってました。
今夜のライブも最高ですわ!でした。来年もよろしくどうぞーん!

いつもフェスで時間が合えば、くらいでしか見ないマイヘア、今回ちゃんと見れて良かった。想像の何十倍も熱いバンドだったなぁ。

「悲しいことも曲にできていいねって言われます。でも曲にすることで一生残ってしまうから、一生忘れることができない。そんな辛さもある。大事な曲を歌います」と"真赤"を歌い始めた時は鳥肌が立った。

仕事を納めてダッシュで向かったライブ、「平日に来てくれてありがとう。仕事お疲れ様でした!」と、"仕事が終わったら"。これが聞けるとは思ってなかったのでテンション上がっちゃった。

途中思わぬトラブルに見舞われて、思うように歌えなくなってしまった椎木さん。「朝から調子が良くなかった。たぶん気管支炎だと思う」と、途中何度も何度も天井を仰ぎながら、途切れ途切れに歌っていた。

「あなたたちが5000円払ってここにいる意味、ユニゾンが出てくれてる意味、わかってます」と声だけではなく心も苦しそうだった。でも、声を出せなくなってもライブを止めることは絶対にしなかった。

「結成から今日まで、あぁすれば良かったこうすれば良かったって後悔したことはない。」と話していたけど、あした後悔しないためのMy Hair is Badの選択が、演奏を止めないということだったのかな。

「最後の曲だけは逃げないで歌いきります、絶対に」と最後に歌った"告白"は、宣言通りしっかり歌いきっていた。現場主義だといっていたマイヘアの、椎木さんの意地とプライドを見た。

「髪ぐしゃぐしゃにして『My Hair is Badです』ってやったらめちゃくちゃすべった」という斎藤さんの話を取り上げて、「バンド名のせいでめちゃくちゃ気を遣わせてしまった。(斎藤さんは)めちゃくちゃ優しい人です」と言うあなたも十分優しいですよ。

「SNSも派手にやってないバンドの、現場にたどり着いてくれてありがとう」という言葉にマイヘアも「場」を、いまという時間を大事にするバンドなんだな、と思った。

「こんなこと言っちゃいけないけど申し訳ない」と悔しそうに残してステージを去っていったけど、それは次回どこかで見せてくれれば大丈夫。どうかお大事にして欲しい。

マイヘアの印象がガラリと変わったし、フェスより物理的にも精神的にも近い対バンという場で見れたことで、より身近に感じることができた。

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