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第7期文字塾

文字塾5期6期を受講しました。松葉と申します。723でなつみです。
文字塾の展示は第1回から楽しませていただいていて、5期にやっと塾生になれました。
今年はついに卒業してからのはじめての文字塾展です。
もう、楽しみで楽しみで、見に行ったら楽しくて楽しくて。こんな幸せなことはありません。
もじが大好きで、ただでさえ楽しかったのに、自分でもたくさん悩んで作ることの大変さを知って、経験してから見る文字塾展。
楽しくないわけがないのです。いや〜〜〜〜ほんとうに楽しい〜〜〜〜!(語彙がない〜〜〜〜〜〜)


文字塾の概要については下記へ
http://mojijuku.jp/ex/07/

タイトル

毎回タイトルも見所ですが、今回もまた素敵なタイトルでわらいの絶えない文字塾になったのかな?と思いました(違ったらごめんなさい)
というわけで早速ですが冊子順にひとつずつレビューしていきたいと思います。

写真は自分用なのであまり綺麗でなくてすみません。

アクラさん
昨年と正反対と言ってもいいような書体でした。同じ人の異なるタイプの書体を見ることができるのも新鮮でとても面白いです。
大切な人への贈り物というコンセプトがすごく素敵なものだと感じました。書体を作る人は優しい人がとても多いのですが、優しいコンセプトだなと思います。「〜ない」「〜ます」と組んだ時に、「い」と「す」が下へと伸びていかないのが腰が低く謙虚に見えて贈り物という気持ちが伝わってくるように感じました。でも名前は「凛」なのが縮こまらなすぎる感じが出ていてかっこいいです。「き」が好きです。あと「ぬ」の書き出しが内側なのが好きです。それから、二画で書く「も」って良いですよね。読みづらいかと思いきや結構普通にさらっと読める、って思います。
コンセプトを決めるのに手間取ったとあったので、決まるまでの過程がどうだったのか気になりました。
小さく見た方が見ていてなんとなく落ち着くような気持ちがしました。
ふくきたるの「く」


ほたる

上杉さん
昨年に引き続き、カタカナ、上杉さんはとても真面目な方で決めたことをきっちりとこなす印象があったので、きっときちんと完成されているのだろうなと思っていました。私は新しいもの好きなので、以前は改刻や復刻にあまり興味がありませんでした。ですが、六期の時に上杉さんと同じ下書きからパスを引く機会があって同じ下書きにも関わらず解釈が全く違っていてとても面白かったのです。意味のある行為、というか意義のある仕事なのだとその時感じたのでした。小宮山さんの「翻刻」という言葉、なるほどなって思いました。ちゃんと比較はしていないですが、ほたるは、少し柔らかくてちょっと湿度を感じます。多分墨のイメージがあるのだと思います。デジタル媒体ではちゃんと見ていないですが、紙に乗ってこそという感じがしました。
食べ物が組まれていたのは少し意外でしたが、しっくりきていてとても良かったです。おたかそう。きっと贅沢。でもすごく美味しいんだろうなと想像できます。この中だとホタルイカが一番食べたいです。お腹がすいてきてしまう。しゃぶしゃぶの「し」が異なる字形で組まれているのが素敵です。ひらがなは「る」が、カタカナは「シ」が好きです。単純ですが脈絡いいですよね。あと「ヌ」、二画目の長いのがかっこいいなあって思います。
かなにはの「か」


ニッカ明朝

うちやまさん
twitterで、日課になさっている文字を見ていて昨年からずっと楽しみにしていました。きっとこんな感じの書体になるんだろうなあと思っていて、やっぱりそんな感じの書体になっていて、勝手にやっぱり!と思っていました。やっぱり!と思いつつやはりきちんと書体として洗練されていて、書き文字との差のようなものも見ていて面白かったです。素朴で優しくて落ち着く文字だなと思います。コンセプトにもあっていて名前もぴったりで自分しか使わないとおっしゃっていましたが、他の方が使うところも見てみたくなってしまいます。他の用途で使用するのならば、やはりエッセイや日記などが合うのだろうと感じました。まだ会ったことがないにもかかわらず、人柄が出ているなあと思ってしまうから文字って面白いなと思います。
組み見本がすごく良かったです!自分の文章を自分で組むって、これ以上ない使い方なのではないでしょうか。貂明朝との組み合わせがとても合っています。まだカタカナは見ることができませんでしたがカタカナも、あと、欧文も見たいです。(OKとかQRとか出てきていたので)「ゆ」の形が面白くって、こういう「ゆ」ってちょっと見ないような気がします。「め」と「ぬ」の形がきれいだなと思いました。「ほ」がほっとする「ほ」だなと思います。展示では一番最初だったと思うのですが、最初に見せたいと先生が思うのがすごくわかるというか、最初に見るのに良い書体だなと思いました。今後変わっていくのも楽しみにしています。
わらうの「う」、うちやまさんなのでここはやっぱり「う」なんだなと思いました。


かんてら

日下部さん
コンセプトがとても面白くて素敵だなと思いました。暗い文章を暗く読まないって相反しているようでもあるように思うのですが、読む人を気遣って制作しているようで、優しい書体だと感じます。コンセプト通り気がつくとゆっくりと読んでいたので、狙い通りになっていたのではと感じました。どんな風に考えてどんな風にアドバイスをいただいたのかすごく興味があります。やはりゆっくりめに書いたりしたのでしょうか。
鳥海さんの線の柔らかさに助けられているというコメントになるほどと思いました。確かに火が揺蕩うようです。でもそんなに不安定にはならないので、「かんてら」という書体名はとても合っていて良いなと思います。照らすような、道しるべとなるような。
カタカナも柔らかいかと思いきやカタカナはカタカナとしてきちんと書かれているのが印象的でした。
「す」が綺麗です。「み」がなんかいいなあって思いました。「ん」も好きです。「し」の柔らかさとか、ゆっくりと読ませるのに一役買っているのかなと想像しました。
きたるの「た」


コンデンス明朝

古俣さん
文字塾ファン(?)としては4期の遠矢さんのこくたんを思い出します。同じ長体のかかった書体でもコンセプトが大きく異なるのが面白いなと思いました。作るのすごく難しそうです。TPスカイとの組み合わせが面白いです。右上がりできつめの印象を受けました。しなやかさや艶やかさ、ときで情念とくるのがすごいです。情念、でもなんだかわかるような気も…けれどモダンなスタイルというのは意外でした。多分文章とコピーのせいですが、資生堂感を感じました。花胡蝶割としっくりときます。小宮山さんの「懐かしい」というのがとてもわかります。少し太めで強さがあるので、短めの、雑誌広告などのコピーに合う感じがしました。化粧品のコピーに情念があっていいのかというと良くないような気もしつつ笑。「実現可能か試してみたい」というのが素敵です。文字塾でその人にとって新たな試みというのが見られるとすごくわくわくするのです。
「ふ」と「り」が好き。「ア」の一画目の払いが短いのがかっこよくって好きです。カタカナの「カ」もかっこいいって思いました。
わらうの「ら」


かける

清水さん
いわゆる腐女子なのですごい情熱でレビューします。
組見本…ショックでした…どのBL小説が組まれているのだろうと思ったら「こころ」だったので…膝から崩れ落ち…BL小説として書かれた現代のBL小説で組んだところを是非見てみたかったし、いっそ私が許可取りに行きたいとすら思いました。許可取れなかったとかだろうか。木原音瀬さんのBL小説とかは、講談社文庫からも出ているのでしかも割と合いそうな気がするので脳内で組んでみたいと思います。(知ってる感を出しましたが、BL小説はあまりたくさんは読んでいません。)作者の意向がこちらだったのでしょうか。確かに「こころ」に合っている感じも。せっかくだから「かけるは突然唇を奪われた」みたいな組見本見たかったです。(※諸事情あって掲載できなかったとのことでした)でもアプローチは本当に素晴らしくて、とても良いアイディアだと思いました。ラノベ書体だったり、異世界転生書体って出てきても良さそうですよね!
BLって結構バリエーションも増えてきていてはいますが、繊細なものやわりと少女漫画みたいな展開のものが人気の印象があるのでそう言う方向かと予想していました。色で言えば蛍光ピンク。なので鋭いエレメントはとても意外なものでした。「扇情的なシーンに対応すべく強い表情を持たせた」というのは新鮮で面白かったです。ですが結構硬い印象なので、爽やか学園ものとかは合わなそうだなと思ってしまいました。二次創作でいうとあんすたなら紅月、ヒプマイなら幻太郎、刀剣乱舞なら義経主従、山姥切国広、文久土佐藩組が合うかなと思いました。
鳥海さんや小宮山さんがどう捉えるのか気になりましたが、さらっと恋愛小説と仰っていて、たしかにそれが一番わかりやすいところだなあと思います。恋愛小説だけれど女性的ではない、と言ったら良いのでしょうか。あまり女性的男性的と言うのも違う気もしつつ。あとは今はそこまででもないですが、少し前なら「禁断の恋」的な要素が加わるかなと思います。
BL小説としては「あ」と「や」と「ん」と「っ」と約物が大切かと思うのですが「ん」が良い味を出しそうだな思いました。(読み飛ばしてください。)この書体を使うことを前提に小説を書いてもらうなどするのも面白そうです。そういうアプローチってそういえばなかなか見ないかも。ドS鬼畜攻め×メガネ真面目受けとかになるのかな勝手に想像しました。ヤクザ系とか合いそうですよね。「囀る鳥は羽ばたかない」的な…。「り」の形が好きです。「そ」「た」「な」のはねが結構鋭いので「そんなことしたらだめ」とか組んだら情感でて良さそうです。カタカナもぜひ見てみたいです。
きたるの「き」


ふくろう

新海さん
モリサワのファン投票で見ました。アッ!絶対塾生だ!めちゃめちゃ綺麗!!と思っていました。「の」がすごく使いたくなる「の」だなと思います。「の」って頻繁に出てくる上に繋ぎ目として重要な役割を持ちながら画数が少なくシンプルな文字ですごく難しくて、だからいいなって思う「の」ってなかなかうまくできないのですが、この「の」はすごく美しくてとても良いです。扁平や長体って大抵は「かかってるな〜」感が絶対すっごい出ちゃうはずなのに、ものすごく自然で驚かされます。組見本も格好よくって、綺麗で、とにかく綺麗で、この書体をうまく言葉で表現できずにもどかしくなります。すごいです。とても丁寧で、それでいて鳥海さんが言うように昨年よりも個性も出ていて、もう敵なしな感じがします。(敵ってなんだろう…)縦組みも横組みもとても読みやすかったです。なんでも組めそうですが、短歌とか、詩が読みたくなりました。「ほとり」の並びとかすごく綺麗です。「す」と「せ」の一画目から二画目への細やかなハネがすごく、すごく好きです。
今後の書体もとても楽しみです!
わらうかなの「な」


歓楽明朝

隅さん
漢字を見ることができたのがすごく嬉しかったです!既存の書体から選ぶよりぜったい合わせて作った方が良いだろうなと思っていました。鱗が不思議な形をしていて、とても面白くて、あと鋭いはらいがかなにあっています。「長」のはらいが少しだけ上に出っ張っていたりするところがすごくらしさが出ていて好ましく思いました。楽しみや喜びに満ちた書体と書かれていますが、朗らかで体の内側から滲み出る楽しさだったり、喜びだったりに感じられて、いいなあと思います。なんとなくちょっと鳥獣戯画をみている気分になりました。カタカナの「ヒ」がすごくひらがなと合っていて個性的でたのしそうです。「ホ」とか踊り出しているみたい。もっと色々な文章を組んだところを見てみたくなります。あのカエルの横に台詞として文字を組んでみるとか。歌の歌詞とか組んだら喜びや楽しみが出てきそうだと思いました。
かなにはの「に」

よこくみ

角田さん
横組みのかなは4期や鳥海も作られていましたが、どういったアプローチをするのか見るのが楽しみなテーマです。横にはねるようなエレメントをつけていく方も多いですが、鳥海さんが横用で制作してきた時と近いアプローチだったのかな?と思いました。きちんと正方形の中に収まるように書かれている印象を受けました。「し」が割としっかり横に広かったりするところとか、横組みで読むにはこちらの方が良いって思います。パネルよりも冊子の方がさくさくと読めて良さを感じます。「ぬ」が、なんか、前のめりでいいなって思いました。「は」と「ふ」が綺麗で好きです。カタカナも1文字1文字しっかり収まるようにと作られているように感じられました。新書等を読みたいです。
成功した例はないようです。と小宮山さんが言っていますが、いつか小宮山さんが成功だと言うような時がきたらいいなと思っています。
来期の書体もとても楽しみです。
かなにはの「は」

つづら

土肥さん
今年、私、この書体が一番好きです!可愛い!細い線から太い線に至る、抑揚というか、瑞々しくて、雫が付いて見えるようです。筆で書いたらこうはならないと思うのですが、そこが個性的で新鮮な印象を受けました。狙いとは異なるかもしれないのですが、結構ホラー系のコピーとかに合うような気がします。怪談ちっく。「なでる」の並びとかひやっとしました。「そ」のうねうねと「み」の魚眼レンズのようなかたちが面白くって好きです。「め」もふしぎなかたちをしていますね…!漢字は秀英とかと組んだところを見てみたいかも。
来期も続けるとのことで楽しみです。別の書体が作りたいのわかるって思いましたし、奇麗になるという先生の言葉も、確かにと思いました。もっとよくなったところが見てみたいです。個人的にはいっそもっと太くして別のウエイトを作ってみても面白いのではないかなと思いました。そして、あとやっぱりカタカナも見たいです!
きたるの「る」

ゴシカ

中村さん
私はディスプレイ書体が好きな人なので、タイトルロゴを見たときからああもうこれは好きですと思い作字で有名な方と風の噂でお聞きしてそれはもう当然好きじゃんと思って見に来てうーん思ってた通り好き!って思いました。ファイルにあった別のラフもとてもとても素敵でしたでも結構読むのは大変で、そういうところって難しいなと思います。可読性を上げてしまうと今度は個性が死んでしまう可能性も…でもとても綺麗です。ロゴとかに使いたい…あとアニメとか、リリックビデオなどに使われたら世界観の構築にとても役にたちそうだなと思います。方向性として近いのは「クワドラ」とか「パルレトロン」なのかなと思うのですが、その2書体ともまた違っていて、落とし所に確たる芯があると感じられました。こういう書体ってまだぜんぜん世にないので、増えて欲しいですし、販売してほしいです。鳥海さんがどう指導するのかすごく見てみたかったです。
すべての文字が好きなので他の人のようにこの字が好き!と言いづらいのですが、しいてあげるなら「ま」「す」「ん」が好きです。「の」の形とかすっごいな!って思いました。
ふくきたるの「ふ」

文愉仮名 

綿引さん
ファイルがめっっっちゃ良、良かったです!綺麗だしわかりやすいし、フォント作りをここで初めて知る方も多いと思うのでこういうファイルはすごく必要だと思います。とてもとても素晴らしかったです。毎回置いてほしいくらいです。言葉遣いがけっこうフランクなのもとっつきやすい感じで良かったです。好きです。
綺麗で丁寧で読みやすくて、視認性も高く新海さんもそうなのですが、すごくプロの仕事という風に感じます。コンセプトもきちんとしていて、世に出してしかるべきというテーマが素晴らしいです。確かに目が疲れずに読めそうだなって思いました。一つ一つの文字が明瞭なので、児童向けの小説などにも良さそうだなと思いました。かなが多い文章を読みたくなる書体だと思います。「かんてら」が暗い文章でも心穏やかにと書いてありましたが、この書体も、暗い文章でも重くなりすぎずに読めるのではないかと感じられました。綺麗な書体って言うことがなくなってしまうので困りものです。
こちらも全部綺麗なので綺麗だなと思うのですが、特に好きなのは「ま」と「も」です。
わらうの「わ」


トークショー後もまたなにかありましたら書き足していきたいと思います。
とても楽しかった。塾生のみなさま素敵な展示をありがとうございました。
来年も楽しみにしています!

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