小説『末裔』絲山秋子~鍵穴がなくて「家」に閉め出された男の不思議な物語
そんな書き出しで始まる絲山秋子の『末裔』という小説を読んだ。面白かった。定年間際の孤独なオヤジの話。なんか身につまされるのだ。不思議なことが次々と起こるのも面白い。。絲山秋子の小説はこれまでもいろいろと読んでおり、世間からズレた冴えないオヤジが出てくるのも、不思議なことが起きるのも同じだ。それは川上弘美の初期作品にも多く見られたし、村上春樹に出てくる異形なるものたちもそうだ。この世のリアルな現実から外れて、別の次元の世界を彷徨うような物語になぜか惹かれるのだ。
58歳の公務