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たーちゃんとアメリカと夢 13 たーちゃんと秋田犬の巻

とうとう旅立ちの時がやって来ました。

この時友人と家族に見送られてから25年。毎回日本に行くと、空港での別れは涙無しだった事は一度もありません。むしろ、どんどん淋しくなっていきます。

とはいえ、飛行機が飛び立つと、意識はアメリカに向かうんですけどね。

アメリカ、ロサンゼルス。太陽が輝き、じめじめした気持ちも涙も、からっからに乾きます。

たーちゃんの新しい住まいは、Apple Avenue というかわいい所にありました。人にうちへの行き方を説明する時は、Orange をはいって、Santa Fe を右に曲がって、Apple を左。まるでトロピカーナのジュースが出て来そうですよね。(ちなみにこの近所にGrape やロングビーチに Cherry もありました。)

一度レストランで、テイクアウトの注文を頂いてお名前をいただくと、

「エルモだよ。セサミストリートに住んでいるんだ。」

と言っていました。またまた〜とさらっと受け流したのですが、後日そんなに遠くないところに見つけてしまいました。セサミストリート…

話が少しそれてしまいましたのでもとに戻します。

念願のアメリカでの生活に心躍らせていたのですが、ルームメイトがビーチに連れて言ってくれて、海の一番遠いとことを見たら、あぁこのずっと先に日本があるんだな。と、急にセンチメンタルになってしまいました。ホームシックというやつでしょうか。

その日、買い出しに行こうと公園を横切ったら、犬を連れた人達が列を作っていました。何かのオーディションだったのでしょう。その列に並ぶ犬達は、ゴールデンレトリバーやプードルやシーズー等、横文字の似合う顔触れでした。その中でやけにホッとさせる顔がこちらを見ていました。それは、ピシッとした毛並みに富士額、そして切れ長の目の秋田犬でした。

たーちゃんは思わず叫びそうになりましたが、目で

「あなたもここまで来たのね!遠い所まで来たのね!」

と語りかけました。

その秋田犬さんのお陰で少し一人じゃないんだ。って気持ちになれてほっこりとしたたーちゃんでした。ありがとう秋田犬さん。お互い頑張ろうね!

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