新しい仕事の依頼がきました

新しい仕事の依頼がきた。これは、一昨年と去年にやったコラボレーション作品(画家や音楽家とのコラボレーション)の続編のようなものを書く仕事である。

最近気づいたことをいくつか書くことにする。たまたま、この投稿を見た人がなんらかのインスピレーションを得ることができたならば、僕は幸いである。

僕は以前に書いた通り、純文学とWEBライティングの2足の草鞋を履いていて、それを収入源としているのだが、この2つのスタイルの執筆には多くの共通点があり、これらの仕事を同時並行的に行うことにより、相互によい影響を与え合うことが可能であることを発見した。

純文学の分野における執筆とは、純粋に言葉の技のみを追求し、心の奥底にある感情なり、知識なり、頭の中を蠢いているイメージなり、思考の断片なり、どうしても伝えたいものを書き記すことだと思う。芸術の一分野として、自己表現をすることだ。

それに対してWEBライティングの分野における執筆は表現ではなく、あくまでもクライアントの要求に応じて閲覧者に伝わりやすい文章を書くことだ。WEBライティングとはSEO(Search Engine Optimization)などデジタルシーンにおけるテクニックとセットであり、その仕事内容はなによりもまず文章を書くことが主体ではあるが、それらの知識や技術と絶妙にミックスさせていかなければならない。

WEBライティングとは多様なもので、純文学に近い執筆が可能な案件もあるし、WEB業界特有の専門知識が必要とされるものもある。僕が約1年半の実践期間の中で得た感想は、自分の得意な分野、深く知っている分野をいくつか持っていると強いというものだった。そして、その分野は徹底して深く掘り下げなければならない。

僕は最近よくオンライン将棋を打つのだが(そのきっかけは外国人の友人と部屋でチェスを打ったことだった)、将棋でも自分の得意なパターンに相手を引き込むことができると時にかなり格上の相手でも翻弄することができる。逆も然り、相手の得意なパターンに引き込まれてしまうと実力を出す前にたちまち劣勢に陥ってしまう。

WEBライティングでも自分の得意な分野で勝負をすることが重要であると思う(執筆は勝負ではないが)。百科事典の内容を書く案件などでは特にその威力が発揮される。

本心を言うと僕は最近アナログの強さというものを特に強く実感している。例えば、同じ内容の文章を紙とデジタルデバイスで見た場合には、紙で見た方が記憶に残りやすいという比較的新しい実験結果がある。また、文章の写経などは基本的に鉛筆や万年筆やボールペンを使って、紙でするべきだと思う。これは、なにか技能を習得しようとするときには、五感を使って(時に第六感も使って)覚えなければならないからだ。そうするとより立体的に捉えることができるし着実に身にすることができる。

売れる文章を書く修練を積むということは、手に職をつけるということだ。

一流のWEBライターでも文章の推敲は印刷した紙を使いアナログでしているという人もいる。彼らは紙の利点をよく認識しているのだと思う。推敲漏れが減る、脳への余計な刺激を遮断できる、目が疲れにくいなどの効果があると思う。紙の利点をよく把握したうえで、デジタルなものとアナログなものを上手く組み合わせていく。

僕は本来デジタルな刺激があまり好きな方ではなく、最近は多くの部分で紙に回帰している。

文章は魔物だ。なかなか、誤魔化しが効かないものだ。そのときの思考のコンディション、精神状態がかなり反映される。その意味で、真に充実した執筆を長く続けたければ、それらを良好な状態に整えておかなければならない。もはや、僕は狂気をそのまま表現することを好まない。

この文章を読んで、純文学作品の執筆に対するモチベーションを取り戻したとか、WEBライティングに興味を持ったとか、紙の魅力を再発見したなどという人が1人でもいたら僕は嬉しい。もっとも、そんなに偉そうなことを言える口ではないが。

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