Chiang Rai(เชียงราย)

僕の中に残っている、霧に包まれた楽園のイメージがある。これから、その楽園のイメージをできるだけ明確に、詩という形式にて書き記そうと思う。

朝起きると頭は冷えていた
茶色いタイルの床
グレーのスーツケースが目に入る
気温は 丁度よく
少し 暖かい
外は晴れている

既に何人か 起きているようだ
日本人は 僕だけだ

胃薬の 缶が目に入る
僕は 寝床から起き上がると
マイルドセブンのソフトパックを探した
少し潰れた 水色の煙草のパックが目に入る
それを握ると 外に出た
晴れている 気持ちよく晴れている
少し雲がある
僕は 煙草を一本取り出し
ライターで火を着けた
まろやかな煙を 深く肺に吸い込む…
緑の山の稜線が 明確に写る

夕方には 皆で食事を作る
魚とスパイスを使った料理で
餅米のようなタイ米と 一緒に食べる
誰かが スパイスを擦っている
魚は さっき池で捕ってきた鯉だ

蓮の池の畔で タイ人の男に入った
入れ墨を見る
青い顔料で 円の中に
なにやら 仏教の呪文が書かれている
それが 白い肌に浮かび上がっている
空は曇っているが 適温だ

そんな光景が、脳の奥底に残っていて、一本の麻酔の針のように作用するのである。

2024/01/30

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