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3年半の本気の恋と虚脱。Heartache...⑤ 幸せのカタチ

彼女への気持ちが
どんどん、自分の中で大きくなっていくのに気付いてからは


24時間全てを彼女中心考えるようになっていた。
何をしていても
次は二人でどこに行こうかな?
何をしたら喜んでくれるかな?

そんな事ばかり考えていた。

沢山、ほんとに沢山の場所に二人で出かけた。


香川に二人で行った時のことだった。

運転中に


「(俺)ちゃん、気付いてる?一年前の写真と(俺)ちゃん全然違う表情してるねんよー」


とおもむろに彼女が言った。自分では全然気付いていなかった。


自分の表情が…彼女の隣で映る、自分の表情の柔かさに心底驚いたのを覚えている。

曖昧な関係で素直に感情を表現することを躊躇っていたのを
たぶん、彼女自身も気づいていたんだろう。


それでも一年が経ち、少しずつ、少しずつ
僕の顔が柔らかくなっていたんだ。


「あなたが好きって言い続けてくれたお陰だね」


と照れながら言った。


「えへへ」と笑ったあとに助手席で眠る彼女が心の底から愛おしいと思った。


僕のワガママで和歌山の端っこまで
クジラを見に行った時も
乗り物酔いしやすいのに薬まで
飲んで一緒に行ってくれた。


結局クジラは見れず
無理に連れてきてごめんと言う僕に…それすら笑い飛ばして


「また来ようね」


と言ってくれた。


初めて見る景色も、
僕が今まで見た、経験した、ステキなもの全てを共有したくて。


勿論、彼女自身も喜んでくれていたとは思う。

でもホントに彼女がしたかったのは
そういう事じゃなかったんだよね。


「僕の家」

ほとんどワガママを言わない彼女が数回だけ来たいと言った。

最初ははぐらかしていた。
世界一周中の彼女の荷物がうちに沢山置いてあったから…。
彼女が旅立つまで同棲に近い形だったから。

この荷物をきちんと返すまでは
僕の中で部屋に呼ぶのは出来ないと思ってしまっていた。

この辺りが僕の弱さで彼女を守れなかった所なんだと今更ながらに思う。



それでも彼女は隣に居続けてくれた。


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