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共助を可視化して、循環させるcivictechを作っています。

CivicTech & GovTech Advent Calendar 2023 24日目の記事です。



最近ノリで福岡に引っ越した阪田です。福岡市に住んで2ヶ月経ちましたが、友達ができません。友達募集中です。

今回は、市民活動を始めやすく、続けられる環境を作るためのデジタルプロダクトの紹介をお届けします。
「これを作ってみたい」という衝動でDay1を迎えたので、飛躍した論理も多くあると思いますが、その際はご指摘いただければ幸いです。

(走り書きでまとめたので細かいところは気にせず、さらっと読んでもらえると嬉しいです。笑)




civicship

どのような人が、どのような市民団体で、どのような活動を、どれくらいしているのか分かるアプリです。これが分かるようになることで、既に活動している本人はニヤニヤでき、新しく始めたい人は自分に合った団体や活動を見つけやすくなります。

この体験には大きく「活動記録」「募集公開」が必要で、両者の自動化を備えたものがcivicshipです。募集対象はヒト・モノ・カネを指しています。
GPSとLLMを主要技術に据えて、ボランティアの活動を自動で記録し、市民活動の募集を自動で公開できることを実現します。LLMによる市民活動の募集作成は、技術検証中です。

活動の自動記録にはGPSを採用しており、Geofenceを使うことで活動場所の出入りだけをデータベースに記録し、差分を活動時間にしています。


目指すところは、共助の可視化・循環です。civicshipは “シビックシップ” と読み、”civic” と ”leadership” を組み合わせた造語で、個人から団体へ、団体から社会へと影響が波及されていく様を模した名前にしています。

価値を検証している最中ですが、血の通うデータが流れるプロダクトを見て「自分はこれを作りたかったんだな」と感じるこの頃です。(まだバグ幾つかありますが…)

アプリで記録されたデータを活用するボランティア募集サイトも近日リリース予定です。アプリとサイトの両方でプラットフォームを作ります。


「世界中のボランティアの活動が、リアルタイムで分かるようになったら、めちゃくちゃ面白い。新しいボランティアは次々と生まれるし、活動を続ける理由になるのではないか。」と強く感じています。この感覚が正しいのか、2024年4月から始まる利用団体のボランティア募集で検証予定です。


ボランティアの活動を自動記録できる「civiciship」の紹介資料



ユーザーストーリー仮説

こちらは、すごい生煮えなので出すかも迷いましたが、少しでも考えていることが伝わったら嬉しいなと思い公開します。私自身の経験や観察を踏まえて言語化したものです。

Story1. 若さ故の苦み

例えば、中高生の頃は部活動や恋愛を中心に過ごし、大学生になってからボランティア活動を始めた人がいます。
この人にとっては、友達や家族にボランティアについて話すことが苦痛でしかありません。ちゃんと話を聞いてもらえないまま茶化されること。”宗教”だと疑惑の目を向けられること。そして、苦笑いして、否定的な意見を受け入れるしかないこと。
ボランティアの話に触れることで発生する「否定されるかもしれない恐怖感」は、活動を自動記録するアプリを利用して「自ら発信することなく好きなことを表現し、好きなことで繋がる」ことによって解消することができます。

Story2. アタリマエになった日常

例えば、仕事に慣れてきて、手にしたスキルで社会貢献してみようかと、ボランティア活動を始めた社会人の若手がいます。
この人にとっては、自分のボランティアをアタリマエに扱われることが苦痛でしかありません。雑に業務を割り当てられること。平日の日中に電話が来ること。意識的に望んでいたわけではありませんが、当初は「ありがとう」と言われていたのに、最近言われなくなってきたこと。
感謝されるために始めたわけではないが、ボランティアが日常になり始めて発生する「少しは感謝されたい気持ち」は、活動を自動記録するアプリを利用して「他の人が見れる場所で、無償の奉仕活動の証を刻む」ことによって解消することができます。

Story3. 自発性と生産性の葛藤

例えば、自分としてライフステージに区切りを付けて、社会貢献に人生を捧げると決めている元ビジネスマンがいます。
この人にとっては、実行スピードが遅いことが苦痛でしかありません。総会で扱われる改革案が積極的に肯定されないこと。締切が守られないこと。目標の定義が難しいこと。
自分だけで前進できるわけではないけど「ボランティアの生産性を高めること」は、ボランティアの日常から求人や寄付の訴求を高められることによって解消することができます。



why this, why you

本音を言うと、着想時はビジネスモデルも検討していませんでしたが、周囲からの反応も悪くなかったので続けてきました。経緯を端的にまとめたものが下図です。

父がYMCAに携わっていたことで幼い頃からボランティアに触れ、私自身も18歳からNPOで活動してきました。学生時代は、神戸大学の東日本大震災支援活動に参加したり、アイセック・ジャパンで専務理事を務めたりしながら、スタートアップ界隈もうろちょろしていました。

2020年に大学を中退して中国の深圳に移住予定でしたが、新型コロナウイルスで難しくなり、国内で創業して機械学習プロジェクトを手掛けることにしました。実践を通じて課題解決の経験値も高まってきた頃に、父がYMCAの経営に関わり始め、夜な夜な議論を交わすようになりました。
この頃から、デジタルプロダクトデザインの専門性を持つ社会人として、ソーシャルセクターに関わり始め「共助を循環させるデジタルプロダクト」を模索し続けることになりました。私にとっては、学生時代に果たせなかった夢のリベンジ戦でした。

まずは現場にどっぷり浸って、必要だとされることは何でもしてきました。目に付く課題を解決する方法を検討・検証してきたこれまでの2年でcivicshipを作ろうと思い至った瞬間は幾つかありましたが「人目に付かず、社会を作る方を支えたい」と思えたことが最大の動機でした。

現場に浸かっていると言いつつ、休息もしてます笑

また、ボランティア募集や資金調達の既存サービスを利用してみたのですが、団体に精通したドキュメンテーションスキルが障壁でした。担当者不在で私が代わりにやっていたので、続けるのが難しく頓挫したのもcivicship発案経緯の1つでした。(利用団体の属性や技術革新によって解決は可能だとは思います)


まあ、あまり何も考えずに始めました。笑



こうやって作っています

資本主義への合流を検討中

まず、数値化されたものが資本主義に合流されていくと捉えています。最近のエシカルやサステイナブルのような潮流も踏まえて、構造化したものが下図です。まだ決めきれていないですが、私たちも合流予定です。


起こしたい変化の流れ

かなりサンプル数は少ないのですが、現場感で「ボランティアが増えることで、解決できる課題が増えること」に気付き、市民団体とボランティアの最適なマッチングを実現することに注力しています。

NPOは人の集合体として設計されている法人格なので、文脈的にも適切ではないかと考えています。


North Star Metric

Input Metricsを洗い出して、ビジョン実現に向かい、顧客価値を生み、事業収益を上げられるNorth Star Metricを設計しています。私たちは『計測者数/day』に設定し、年始からSlackで毎日通知されるようにします。


プロジェクトの進め方

スクラムを組んで、週次で作られたプロジェクトを各自が担当しています。私を中心に「必要になった経緯」「解決する課題」「今後への影響」「完成の定義」を記入して、週初めに認識を揃えています。

コアメンバーが受託しながらcivicshipを開発していることもあり、デイリースクラムは行わずに、プランニングとレビュー、レトスペ、リファインメントを隔週で実施しています。


UXリサーチ

ファクトからインサイトを抽出

Figjamで検証計画を設計してから、Notionでインタビュースクリプトを作成、Nottaで文字を起こし、Centouでインサイトを抽出しています。


抽出したインサイトの活用

インサイトをベースにユーザージャーニーやセグメントを整理することで、インサイト駆動開発を導入します。2月から本格運用を予定しています。

ちなみにCentouを導入するまでは、Figjamでこねくり回していました。UXリサーチにCentouが不可欠なプロダクトになってきているので、かなりおすすめです。


UIデザイン

開発ライブラリに合わせたcomponentを使って、Figmaで作成しています。プロジェクト毎にファイルを分け、手が空いた時にmasterに統合する運用フローです。


エンジニアリング

技術スタック

Firebaseを基盤に、Cloud FunctionsでExpress(Typescript)のサーバーを介して、ネイティブアプリはFlutter、ウェブアプリはNext.jsで開発しています。ウェブアプリはコンポーネントライブラリとしてshadcn/uiを使っています。
これまで使っていたGAEもサーバーレスなので、大規模化を見据えてフロントエンド・バックエンドを分離することを無意識的に前提としてしまっていたため、Firebaseの恩恵を最大限受けられる設計にはできていないのですが、バックエンド、フロントエンドの管掌を分割できて開発は楽になっています。(合っているのかは分かりません笑)

体験検証が順調に進めば、ボランティアの活動履歴をブロックチェーンに刻むことを予定しています。(技術設計の相談に乗ってもらえると、凄い嬉しいです😭)


データベース設計

NoSQLの適切な設計図が分からず、ER図をベースにしてスキーマを定義しています。Figjamで設計していますが、適切な手法やツールをご存知の方は教えていただけると嬉しいです。


API仕様書

Cloud Functionsを呼びだし可能関数(HTTP callable)で呼び出しているので、RESTではないのですが、便宜上OpenAPIで設計しています。(適切なツールあれば知りたいです…)


ユーザーの操作ログ

あまり分からないままFirestoreにコレクションとしてログを溜めていたので、Google Analyticsを導入する予定です。



おわりに

ボランティアから最も愛されるプロダクトへ

何が正しいのかやってみないと分からないと思い、やってみよう精神で取り組み続けています。今回のAdvent Calendarもトライしてみましたが、読んでいただいた方に私たちの姿勢だけでも伝われば幸いです。

また、ここまで書いていると温かく見守って下さったり、協力いただいた方々の顔が浮かんできました。ありがとうございました。civicshipをボランティアから最も愛されるプロダクトにします。


ご協力いただけると嬉しいです

  • ボランティアを続けている方、始めようか迷っている方に、Zoomにて30~60分のインタビューに協力いただきたいです。

  • 法人格不問でボランティア活動をしている団体さまに、ぜひcivicshipをご利用いただきたいです。

  • civicshipの開発に興味を持って下さった方がいらっしゃいましたら、職種問わずカジュアルに面談させていただきたいです。

こちらに送っていただけると幸いです🙋
https://civicship.jp/#contact




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