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19.遺伝カウンセリングを受ける

夫のマルファン症候群による大動脈基部拡張を解決するための手術(大動脈弁形成、上行大動脈の人工血管置換)も終わり、仕事に復帰し始め、少し胸をなでおろしました。私もそろそろ仕事復帰しなくてはでしたが、まだ大仕事が残っていました。息子の受診です。

そもそもは息子の骨格や発達の異常に気づき、受診してみたところ、マルファン症候群を疑われ、夫の症状の発見につながり、即手術という流れでした。というわけで、次は息子をどうケアしていくか…。

ただし遠くの病院への通院する大変さを思い知った私は、疲れ果てていました。息子はまだまだ道が長い。どのような受診行動をしていったらよいのか検討がつかないし、失敗や無駄な動きはしたくないほど、疲れていました。

そんな今後の道筋に悩んでいた私に新たな救いの手が!小児医療を守るための活動をしている仲間が遺伝カウンセラーさんを紹介してくれました。とてもありがたい出会いでした。

遺伝カウンセラーについては、母校の大学院に養成コースができたので、一度は入学を検討したことがありました。また実はとある大学病院の小児科で遺伝疾患の学会事務局をしていたこともありました。

ですが、まさか自分や家族が当事者になるとは…思いも寄らなかった事でした。

当時の日記

年末に友人が紹介してくれた遺伝カウンセラーの方を頼り、夫が手術したところとは別の大学病院で遺伝カウンセリングを受けてきました。


遺伝カウンセラーの方お1人との面談かと思ったら、遺伝子診療のドクター、遺伝カウンセラーが2人、見学ではありますが、歯科医、小児科医の若手の先生が1人ずつの計5人の面談でした。


圧倒されつつも大変心強く…。
最初にドクターに
「何が一番お困りですか?」
と聞かれ、
(1)これから医療機関にどのようにかかっていったらよいか
(2)本人や周囲にもどう伝えていくか
と、一番を聞かれたのに、2点答えてしまった欲張りな私…。


家系図の確認と疾患の説明の後、
マルファンの確定診断の前に手術をしてしまったという、順序がイレギュラーな現状

まずは夫の確定診断が必要

明日に控えた夫の診察で眼科、整形外科、遺伝診療科など他科受診を依頼する

息子は最初に可能性があると言われた総合病院を再受診

県内の小児専門病院に紹介状を書いてもらう

県内の小児専門病院受診

マルファンの診断を受ける
という方向に整理できました。


初耳な情報としては、マルファン症候群の症状の一つに歯並びが悪くなることがあるのですが、矯正が保険でできるとのこと!ただし指定の医療機関のみのようですが、近くで対応可能な歯科も教えてもらえました。


夫と同じ大学病院か県内の小児専門病院を迷っていましたが、まずは県内の小児専門病院の方向になりました。


ただし、一生付き合う疾患の場合、小児科から大人の科への移行が難しい子が多いとのこと。小児科の先生に優しく包み込むように見守られてきているので、10代になって、転科する時にうまく関係性が作れないこともあるらしく…。小児専門病院にかかると、小児科から成人科が難しいらしいのです。確かにその問題については以前にニュースや学会で耳にしたことがありましたが、まさかこんなに身近なことになるとは…。


おそらく息子は心臓より側弯が先に問題になってくるので、夫と同じ大学病院か県内の小児専門病院の整形外科がどちらが症例を見慣れているかによると思うのですが…。


あとは遺伝疾患はネガティヴな面もあるけれど、身近な疾患モデルとして父親がいて、入院や手術をちょこちょこするけど、まあ元気に楽しく過ごしている姿を見ることで、本人の疾患解釈が明るくなるとのこと。
私たちがどういう姿勢でいるかが大事だとわかりました。


最近うっかりすっかり油断してましたが、まだまだ道のりは長いなーと思いつつも、心強いプロフェッショナル集団に相談できて、すべきことの順序が明確になりました。


私の脳では完全にキャパオーバーな問題を抱えていたんだなーと改めて実感。
心臓外科は心臓以外のことをフォローしたり、他科受診を促す機転は利きづらい…とか、イレギュラーな順序の展開で困っているととか、術後のフォローアップ中なので、データを持っての転院やセカンドオピニオンを聞きに行きづらい状況であるとか、私の悩みは妥当なんだなーとわかったことにホッとしました。


夫の大学病院の受診時に息子の話もちょいちょいしてるのですが、全然実際の受診につながるような手応えがなくて、そこに異常な心臓があるから手術するみたいな感じなので…。もちろんそれ以上を期待していなかったので、よいのだけど…。


まだまだ相談すべきことはありそうです。どの医療機関に対しても、それぞれ別の不安を持っていたので、中立的な立場の先生方に包括的に現実的に相談にのっていただけて、ホッとしました。