書評:「しないこと」リストのすすめ
こんにちは、NAOSHI*と申します。
これから書評シリーズとして、読んで良かった本を紹介しつつコメントやら思った事やらを垂れ流していこうかと。
今回はタイトルが気になって読んでみたら気付きしかなかった、
こちらの本です。
「緊張からの解放」
早速本題。
この本の効能を一言で表すならコレだと思います。
現代社会は、緊張がとても多いです。異常なくらい。
私たちは無意識に、自分に必要以上の緊張を強いています。
ToDoリストをつくったり、週末を予定で埋めようとしたり…。
その過剰な緊張を見つけ出し安らぎを得たい人にとって、この本は強い味方になってくれます。
著者の辻信一先生は「ナマケモノ教授」という二つ名(自称)があるそうです。
全読破すると、教授が教授たるゆえんというか、ナマケモノ教授の叡智を存分に感じることができます。
本書の特徴を簡単に紹介します。
引き出しが多い
この本に書かれている「しないこと」はとにかく多いです。
多いことで自分にあてはまる知見・実践できる「しないこと」が何かしら存在します。
具体例とセットで実践する気になれる
紹介されている「しないこと」には必ず具体例や引用がついてます。
ただ単に「しないことをしろ」と言われても感覚的に納得しづらいですが、
非常にマッチした具体例が添えられているので、貴方のしないことを後押ししてくれます。
さてこの本を読むにあたって、
最低限意識していただきたい「しないこと」があります。それは、
この本に書かれていることを全て実践しない
ことです。
中にはかなり実現の難しい「しないこと」があります。
また、「しないこと」の量も尋常じゃありません。
全て実践すると、生活や人間関係が崩壊する危険を孕んでいるとさえ言えます。
まずは、出来るところから実践してみるといいと思います。
そして、実践する前とした後で効果を検証します。
自分が緊張から解放されたのか、そうでもなかったのか、
しないことでプラスになったことがあったのか、そうでもなかったのか、
キチンとモニタリングして効果を確かめましょう。
そうすれば、いろいろと見方が変わってきます。
先生も「絶対といわない」を最も重要な「しないことに」挙げています。
それに沿うならば「絶対」しないことリストを全件実行しよう、と思わないことです。
その他、この本から得られた気づき
この本は沢山の「しないこと」を提案している都合上、いろんな蘊蓄や社会問題についても触れています。
なんだかんだ言って、そういうコラム的な小噺も面白かったのでいくつかピックアップして紹介します。
文明開化前後の価値観について
本書に日本古来の「である」社会について述べている箇所があります。
江戸時代までは、身分制度がはっきりしていました。
する(DO)の反対はいる(BE)であり、「いること」が価値になる社会が文明開化前の日本の価値観だったわけです。
ところが明治維新以降「する」文化が急速に流入して、そのギャップに日本人はノイローゼ状態になったと指摘されています。
確かに、日本古来の考え方が「である」社会という点は納得できます。
日本企業の物事の進め方はトップダウン型が多いです。
グローバル化が進んだ現代でも「上の言うことは絶対」という文化は随所で根強く残っています。
一方で若者ほど「する」文化へ順応しています。
そこで文化圏・価値観のギャップが起こりトラブルもおきやすい、というのは腑に落ちます。
あくまでどちらの文化圏が優れているとか善い悪いとかそういう話は置いといて、俯瞰して考察してみると非常に面白いです。
トイレの時間は大事
本書ではトイレに関する話題が何回か出てきます。
特に、アウシュビッツ収容所に関する小話は衝撃的でした。
「人間の尊厳を奪うには、不衛生な場所での排泄を強要するのが最も効果的だ」なんて、なかなか邪悪ですよね。
御手洗は、完璧に衛生的な場所で他の何もせず集中するべきって、エキセントリックですがいい提案だと思います。
どうしても仕事とか憂鬱なこと考えちゃったりとかしがちですが、良くないんですねアレ。
おわりに
以上、「しないこと」を提案する本の紹介でした。
私自身趣味でやることが絞りきれてなくて、完璧に「すること」過多の人間でした。
でしたというか、現在進行形で「すること」過多です。
ですが、この本を読んで「すること」でがんじがらめになってる自分に気付けたのは大きな収穫でした。
今後どうしても何かを実現するために何かを切り捨てていかなければならないんですけど、それを判断する勇気を与えてくれると思っています。
文庫本でさほど高くないので、気軽に手を出してみてはいかがでしょうか。
この書評を読んで興味を持った方にも良い気付きがあることを願っています。
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