EDH「深海の破滅、ジャイルーダ」100枚解説(統率者編)
「ジャイルーダ」は楽しい✨
6マナ6/6という悪魔的なスタッツ、名状しがたい邪悪な姿形、リアニ能力、そしてそんなデーモン・クラーケンを相棒にできるというわくわく感は他のクリーチャーではなかなか味わえない。魅了されたプレイヤーは少なくないと思うし私もその一人だ。このデッキを組んでから、もう3年が過ぎようとしている。
好きが高じて《ジャイルーダ》のアーティストプルーフ(AP)とシリアル番号付きも入手してしまっているので、もはやこれはある種の信仰なのかもしれない^(;,;)^
この記事は、私が自身の構築を振り返るという意味もありますが、そのことが他の「ジャイルーダ」使いの構築の一助になればとても嬉しく思います。また、「ジャイルーダ」とどう戦えばいいのかの参考にもなるかもしれません。
長文ですが、よろしければ最後までお付き合いください。
なお、この構築の想定デッキパワーレベルは7です。6マナのジェネラルであること、ジェネラル着地後もすぐにゲームが決まるわけではないことからこの数字です。足回りにはだいぶ力を入れています。
日常的に更新し続けているMoxfieldのページはこちらです。採用を検討した多数のカードたちも載っています⬇
今回紹介するリストはこちらです⬇
(2023年10月1日現在のリスト。エキスパンションはWOEまで。なお、WOE、WHO、LCIで強力なカードが追加されました。それらのカードについては別の記事「最近『ジャイルーダ』の強化がめざましいと思うんだ(WOE・WHO・LCI)」で言及しています。)
1.深海の破滅、ジャイルーダ/Gyruda, Doom of Depths
このデッキのジェネラル。
楽しくはありますが、重く、実は決して「強いジェネラル」というわけではありません。
とはいえ、マナ総量が偶数のクリーチャー1体をリアニする能力は非常に強力で、6マナ以上の役割をだいたい果たします。(外すこともある💦)
相手のクリーチャーを釣るのを“選ぶ”ことができるのも良いです。この能力を生かすために、15体前後の《クローン》を採用することが多いです。
🐙ゲームプランと注意事
通常、「ジャイルーダ」デッキでの勝ちパターンはビートダウンとコンボの2つです。
ビートダウンプランは《クローン》を複数枚採用し、6/6を横並びさせてコンバット120点を目指します。稀にエルドラージをたくさん採用し、それら大型クリーチャーでのビートダウンを狙う構築もあります。(引いてしまったらどうするんだろう……。)
このビートダウンプランの良いところはミルし続けることでこちらのクリーチャーを増やしつつ、相手のライブラリーを削ることができる点です。相手のコンボパーツを落とすことができますし、そうでなくても大量の土地やスペルが落ちれば相手は思うように動けなくなります。相手のデッキを“ついで”に機能不全に陥らせることができるのが「ジャイルーダ」の特徴といえるでしょう。
一方で、このプランは、対戦相手に黒や赤が入っていると途端に諸刃の剣となります。黒は元々墓地利用が得意な色であるので、墓地に落としたクリーチャーをリアニされてこちらが窮地に陥ることがあります。また、赤は《死の国からの脱出》という強力なカードがあり、墓地を肥やしたがためにこれ1枚に負けてしまうこともあります。
墓地利用デッキと戦う際には、コピー先を変更したり、墓地の枚数を調整したりといったプレイングが必要になってきます。
コンボはサブプランで、《霊安室》を使う場合が多いです。カード3枚で決着がつく可能性があります。(※詳細は《霊安室》の解説へ)
オラクルコンボを使う構築もありますが、個人的にはあまり採用したくありません。その理由は、《タッサの神託者》の誘発をコントロールしにくいところにあります。勝ちに繋がらないタイミングでの《神託者》ほど虚しいものはありません。
いちおう「ジャイルーダ」固有(?)のコンボとして、《最後の審判》でライブラリーを吹き飛ばしてトップ4番目までに《神託者》を積み、その後に《ジャイルーダ》の能力を誘発させて信心1以上なら勝利するという方法があります。
ビートダウンとコンボのどのプランにしろ勝つためにはだいたい6〜7ターンか、ゲームによってはそれ以上がかかるため、盤面を制圧した後、相手に捲られないプレイングが重要です。
🐙重さの対策をしよう
回避能力がないとはいえ、6/6というスタッツは優秀で、積極的に殴りに行くことができます。統率者ダメージ21点で対戦相手を落とすこともあります。
となると、最大の問題はやはり6マナという重さ。ジェネラルに大きく依存した構築であるため、できるだけ早いターンにジェネラルを着地させたいです。卓にもよりますが遅くとも3ターン目までに一度は着地している状態を目指します。そうでないと相手の動きに追いつけないことが多くなります。
3ターン目の着地が可能なハンドでキープしようとすると、自然とマナ・ファクトが2枚以上必要になってきます。引きたいマナ・ファクトと引きたくない《クローン》の割合をどうするかもこのデッキを構築するうえで1つのポイントになってくるでしょう。マリガンは惜しまずしましょう!
妨害されると6マナにはなかなか届きません。その際には、《クローン》で相手のマナクリをコピーしたり、ヘイトベアーで卓全体を減速させたりします。手札に複数枚の《クローン》を抱えても、4マナを支払ったうえで更に次のアクションをとるのは妨害された状況ではかなり厳しいです。手札で腐らせるよりも積極的に使った方が良いです。
無事、3ターン目に唱えられたとして、すぐさま除去されてしまっては元も子もありません。一度着地したのならまだマシにしろ、打ち消されてしまっては目も当てられません。可能であればこちらも打ち消しを構えたり、除去をフィズらせたりするカードがあるうえで着地させたいです。
重いジェネラルであるがゆえに、卓の動きを見極め、唱えるタイミングに注意したいです。相手が除去を多めに採用していそうなデッキであるならば、《エスパーの歩哨》などのようなドロー能力を有するクリーチャーや《リスティックの研究》などをコピーし、リソースを十分に確保してから動くと良いです。
また、私は《アンフィンの反逆者》と《深海住まいのタッサ》を並べて盤面をコントロールするということもしばしばやります。
🐙対策の対策をしよう
マナ・ファクトを多めに採用するということは《溜め込み屋のアウフ》などのアーティファクト対策には注意が必要だということです。
また、《ジャイルーダ》の能力に依存した構築である以上、その能力を封じられると途端に厳しくなります。そのため《倦怠の宝珠》や《静寂をもたらすもの》などのETB対策を対策する必要があります。
青黒という色はアーティファクトに触りにくいため、《倦怠の宝珠》を採用していそうなデッキ相手には特に注意が必要です。
ちなみに、相手の墓地対策はあまり効きません。MOでの《ジャイルーダ》の挙動がリリース当時話題になりましたが、《虚空の力戦》やそれと同じ能力を持った《ダウスィーの虚空歩き》などではリアニを止めることができません。リリースノートにはこうあります。
追放領域からクリーチャーを選べてしまうのです。
そのため、墓地からのリアニを阻止しようと思うなら、《墓掘りの檻》や《エイスリオスの番犬、クノロス》のように墓地から出られなくするか、《封じ込める僧侶》で妨害するしかありません。
ミルしてからクリーチャーを選んで場に出すまでが一連の動作なので、能力が解決したら相手が動けるタイミングはありません。
対策といえば、対戦相手が《ジャイルーダ》を《ケンリスの変身》や《ダークスティールの突然変異》などの“能力を失わせる効果”で無力化しようとしてくる場合がありますが、これは不可能なので気にする必要はありません。能力がなくなるという特性は《ケンリスの変身》による継続的効果によるものであるため、コピー可能な値ではありません。そのため、《クローン》でコピーしようとした場合、その《クローン》はきちんと《ジャイルーダ》として場に出ます。
《クローン》は昔からルールが複雑であるため、使用する際には対戦相手に説明できるくらいに自分自身が理解をしておきたいです。「コピー可能な値」は特に大事な用語だと思います。
コピーといえば、よくあるエラーが1つあります。それは、コピー先に選んだクリーチャーが除去されることです。これはこちらも配慮しないといけないことなのですが、《クローン》を唱えた際にすぐさま「○○になります/○○として戦場に出ます」と宣言してはいけません。また、「○○を対象にします」という言葉は、誤解を生むどころか間違った表現ですのでやめましょう。
《クローン》は戦場に出る直前にクリーチャー1体になることを“選ん”で、そのコピーとして場に出ます。“対象を取る”ことはありません。そのため、相手はこちらの《クローン》が何になるのかを知るタイミングが存在しません。(盤面を見ればだいたい予測できますが)
相手の手札に妨害があるにもかかわらず、こちらが何になるかを先に宣言してしまうと、相手が《クローン》を唱えた際の優先権をパスしたことになってしまいます。そしてトラブルが起きます。
《クローン》を出す際には、「通りますか」と聞いて全員が優先権をパスしてから「○○になります」と宣言することで、このエラーは回避できます。
《ジャイルーダ》が《クローン》をリアニする際も同様です。上でも述べていますが、《ジャイルーダ》の能力で《クローン》を“選び”、そしてその《クローン》はクリーチャー1体のコピーになることを“選ぶ”ので、妨害するタイミングは存在しません。
🐙フレイバーは愛でよう
「相棒/Companion」能力はフレイバー・テキストです。
デーモン・クラーケンを相棒にするというのはとても魅力的ですが、もうすでに統率領域には《ジャイルーダ》が置いてあるではありませんか。それは実質「相棒」です。それ以上望みたまふな。
レガシープールにおいて、1マナのスペルには非常に強力なものが多く、それらを使えないのは自分自身に大きな制限を課すことになります。また、青の代表的なスペル《意志の力》や《激情の後見》、黒の《暗黒の儀式》、《吸血の教示者》なども使えなくなってしまいます。そのため、他のカードをジェネラルにし、《ジャイルーダ》を相棒にするというのは大きなハンデを背負うことになるといえるでしょう。
しかし、それでも相棒として使いたいのであれば、《暗闇の君主、ベ=ラコール》が一番相性が良いと思います。ドローと火力を内蔵したデーモンで、他のデーモンが場に出るたびにダメージを飛ばします。《クローン》で《ジャイルーダ》をコピーすればミルしながらダメージをどんどん飛ばすことができます。また、赤が加わるため、天敵だった《死の国からの脱出》を自ら使えるようになるのも大きいです。問題は、やはり重いことです。
そういえば、《墓場波、ムルドローサ》の相棒にしている方と一度対戦したことがあります。(残念ながらキャストはされませんでした)
そのため、デッキとしてなくはない、という感じでしょう。使うにはより深い愛が必要そうです。
🐙特徴・魅力のまとめ
以上、長々と取り留めのないことを書き散らしましたが、最後にまとめておきます。
「ジャイルーダ」の特徴は、
カードデザインが格好良い
殴りに行ける6/6というサイズが良い
リアニガチャが楽しい
相手のゲームプランを崩すのが楽しい
唐突にコンボで勝てるのが楽しい
墓地を利用するのに墓地対策が効きにくいのが良い
しかし、
6マナはけっこう重い
墓地を利用するデッキに注意が必要
ETB対策に注意が必要
ファクト対策に注意が必要
といった点があげられます。
これらを踏まえたうえで、私はどんな役割を期待して99枚を選んだいったのか。次回以降の記事で書いていきますので、どうぞお待ちください。
続きはこちらです⬇
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