【書評】たいのおかしら(さくらももこ)
スイスイと読める、短編エッセイ集。
随分前に読んだことはあったけれど、最近また手にする機会に恵まれた。
日常のちょっとしたことを言語化して、
読み手に視覚的に伝える。
ほわほわした内容で、楽しくサクサク読める文章ではありつつ、
それと同時に「ことばの力」と強く感じる本だ。
本編で、「お引越し」について書かれていた回が特にお気に入り。
ジャングルジム3つ分のガラクタを所有する旦那さん。
そしてそれを、旦那さんの体調不良により、一人で梱包をする羽目になるさくらさん。
途方に暮れ、夜更に3分の2をサッと処分することに。
そして引越し後、「処分」という事実に気がつかない旦那さん。
これ、量は違うだろうが案外いろんな人にあてはまるエピソードなのではないか、と思った。
記憶にもない不要なものを箱に詰めて「とりあえず」保存。
自分にもそういうところがある。
見直さねばと、ハッとした。
巻末インタビューで三谷幸喜さんと対談をされていたのも、
とても読み応えがある。
三谷さんと奥さんのお話。
さくらさんの 旦那さんとの離婚のお話。
おならについて、どの程度オープンか、というお話。
「ちびまるこちゃん」 アニメで脚本も書いていたお話。
アニメの脚本を書かれていたことは、知らなかった。
通常の連載に加え、アニメの脚本を毎週、
そして、こういったエッセイ本など。
ピカソや手塚治虫さんのように、
彼女も「多作」の作家さんなのだな、と改めて感じた。
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