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11/3(火祝)「あなたのための貸し切り劇場」公演レポート@ いわき芸術文化交流館アリオス

こんにちは、ロクディム共同主宰カタヨセヒロシです。
僕が住む鎌倉では、最近、天気の良くあたたかな日が続いています。
皆さんのところはいかがでしょうか?

あ、もしロクディムをご存知ない方は、よければこちらをご覧ください。

さて、今年の文化の日だった11月3日(火祝)。
ロクディムは「お客さまとの『密』をみつめ直す。採算度外視の挑戦となるスペシャル公演」を行いました。

もともとロクディムで挑戦中のクラウドファンディングへ向けて書いた文章だったのですが、公演を振り返り、反芻するような文章になったので、noteにも書いてみました。

「そんな公演があったのか」と知っていただけたら幸いです。
また、クラウドファンディングについては最下部にリンクを貼りましたので、よろしければ読んだ後にでも、見ていただければ嬉しいです。

公演当日は文化の日
偶然だけど最適な日

2020年の文化の日は、11月3日、火曜日。
「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とした祝日。

僕たちが挑む、前代未聞の挑戦に、これ以上ない相応しい日です。

しかし、この日が公演日となったのは、正直なところ「偶然」でした。
いくつかあった候補日の中で、もろもろのタイミングを見てちょうど良かったのが、この日。

「偶然」の日が、最も「意味」のある日になりました。

文化・芸術という分野に関わる、僕たち「表現者」、会場である「劇場」がそれぞれの立場でどういう活動ができるのか(できたのか)。

観劇を楽しみにしてくださる「観客」皆さまが、どういった想いを持って会場に足を運んでくれたのか、観劇してどういう感想を持ったのか、を記録するプロジェクトを組み立てました。

個人的には文化の日の趣旨に、もう1つ、要素を付け加えたいです。

「自由と平和を愛し、文化をすすめ、文化に親しみ楽しむ」と。

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▲いわきアリオス交流ロビー​​​に設置されている【大平和の頌(だいへいわのしょう):棟方志功】

多様なお客様に贈る
多彩な即興コメディ

本公演は、ロクディムにとっても会場いわきアリオスにとっても史上初となる1組限定のお客さまをむかえる「貸し切り劇場」です。

できるだけ安心できる環境で公演を楽しんで欲しい。
そのアイデアが形になった公演─

全233席の劇場にお迎えするお客さまは、たった1組だけ。
その1組のお客さまと繋がり、その方だけに贈る公演。
これが今回僕たちが挑む「新しい密を考える」公演です。
この公演を6回転、つまり6公演行う。
そして、終演後の感想をお客さまにお聞きしました。

会場に来てくださった6組のお客さまは

1)可愛い小さなお子様連れのご家族2組(5名)
2)学校の部活動(11名)
3)小学生の頃からの知り合いで今や大学生にもなった友達同士(7名)
4)親子(2名)
5)元気な小学生連れのご家族2組(7名)
6)ご夫婦(2名)

年代も組み合わせも違う、多様なお客さまにお越しいただきました。

それぞれのお客さまとやりとりをして紡がれた即興のシーンの数々。
笑いあり、大爆笑あり、困惑と混沌もありまがら、涙もありました。
その模様はぜひ公演動画を見ていただけたら幸いです。

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観劇体験を豊かにしたい
劇場を楽しんでもらい
即興コメディを楽しむ

今回は「観劇する体験」そのものを楽しんで欲しいという思いから、

「劇場自体を楽しんでもらう」=普段は入ることのできない「劇場の裏側」を覗き見する「劇場たんけん」してもらい

その後、客席へご案内して、「ロクディムを楽しんでもらう」という構成にしました。

公演構成

▼受付
「いわきアリオス 小劇場」前で受付をしてもらいます。
お一人ずつ、検温と手指の消毒をして健康状態のチェックも欠かしません。
本公演の説明と、公演中同行するカメラマンをご紹介。
そして、劇場ではなく、上の皆にある「大リハーサル室」へご案内。

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▼大リハーサル室
ここでお客さまを待っているのは「空中に浮かぶたくさんの封筒」と「前説動画」。
前説動画では、公演の説明や、出演者・クルーの紹介、そして公演に際する注意事項を伝えます。
今回はコロナ禍の影響を考えて動画で作成しました。

また、「空中に浮かぶたくさんの封筒」にはお客さまに「ひと言」を書いてもらう紙が「ランダムで3枚ずつ」入っています。おみくじを選ぶように、お好きな封筒を選んでもらい「ひと言」を書いてもらいました。

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▼裏通路を通って楽屋へ
その後、普段は入れない裏通路を通って、下の階にある「小劇場」へ向かいます。重いドアを開くと真っ暗な通路が続き、電気をつけて、足元を注意しながらいざ出発。

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▼楽屋から舞台を通って客席へ
そのまま楽屋へ向かいます。
楽屋のドアには「ロクディム様」や「ロクディム・クルー皆様」という紙が貼られているのですが、そこの1つのドアには「お客様の名前」が貼られています。
お客さまが中に入ると、照明がたくさんついた鏡台が並んでいます。
確か舞台モニターもつけておいたはず。
まさに楽屋。
鏡の前に置いてある宝箱、ここに自分の書いた「ひと言」を入れてもらいます。
さあ、今度はいよいよ劇場へご案内。

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▼観劇
会場のスタッフに案内されたお客さまは、舞台袖から舞台上へ入ります。
舞台の反対側には、ディスタンスを保ったロクディムがお出迎え。

「いらっしゃいませ〜」
「ご来場ありがとうございます」
「今日は貸し切り自由席です、お好きな席へどうぞ」

お客さまの目には、「舞台上から見る客席の風景」が広がります。
なかなか見れない風景かもしれませんが、それを楽しんでもらいたいと考えました。
どの席にしようかな、と考えながら客席へ降りていくお客様へ

「途中で移動しても大丈夫ですからね」

と声をかけたり。
お客さまが来てくれること。
もちろん、距離は取りながらですが、直接やりとりができること。
それが、こんなにも嬉しく、こころが暖かくなるものなのだと、改めて感じました。

ロクディムにとって、9ヶ月ぶりとなる、実際にお客さまを迎えて行う公演。
いわきアリオスとしても、主催事業で、お客さまを迎えるのはずいぶん久しぶりとのこと。

僕たちロクディムは、それぞれに、感じるものがありました。

なんだかよくわからないけど、帰ってきたぞという懐かしさ
これから即興で紡がれる芝居×音楽×照明のやりとりの期待とチーム感
そして、劇場にお客さんがきてくれて、ここでできる嬉しさ

6組のお客さまそれぞれに向き合い、やりとりをして作った即興のシーンは、僕たちだけでなく、会場にいる皆さんと一緒に作り、一緒に笑った特別な時間でした。

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▼終演後、インタビュー
終演後にはインタビューをさせていただき、感想や想いをお聞かせいただきました。

新型コロナウイルスによる環境の変化がある中で
観劇することや舞台表現についてどのように考えたのか。
今回どういった思いで見にきてくださったのか。
それらを記録として残したいと思いました。

今回、それぞれ違う場所、違う環境で今を生きている皆さんが、実際に感じていること、感じたことなどを答えてくださいました。

多様なお客様だからこそ、いろいろな意見もありました。
多様なお客様だけど、共通する思いもありました。
お答えいただき本当にありがとうございました。

これらをまとめたドキュメンタリー映像を作り一般公開して多くの方に見てもらいたい、これが、今回のクラウドファンディグの主な趣旨でもあります。

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公演の合間に撮影した
クラウドファンディングでしか見れない
ロクディム楽屋映像も

公演と公演の間にあるわずかな休憩時間を過ごす「楽屋風景」も撮影しました。
公演に向かう意気込みや、公演を終えての感想、その他、雑談などなど。
普段あまり見ることのできない楽屋裏のロクディム。

また、今回はコロナウイルスの影響を考えて、楽屋使用人数(同時に楽屋に入れる人数)が「定員の半数」となっていました。定員が「10名」だったので「5名」ひとり入れません…。

楽屋使用人数とは、同時に楽屋に入れる人数なので、1人が退室すれば、別な1人が入ってこれるという形になります。

差し入れの取り合いや疲労がたまっていく姿などまるっと含めた、これまでのロクディムにはないレア映像。

真剣な公演と共に、ちょっと違った角度からロクディムをお楽しみいただけます!

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公演概要

最後に公演に関わってくださった公演クルーの皆さんをご紹介します。

これまでのロクディムの公演と比べて撮影クルーが多いのは、公演動画だけでなく、公演の裏側や「劇場たんけん」の様子や終演後のインタビューなど全てを撮影する必要があったからです。

「今」という一瞬を記録するため、確かな技術と膨大な撮影をしてくれました。

無謀ともいえる企画に賛同してくれ、力を貸してくれたクルーの皆さん、本当にありがとうございました。

僕たちロクディムだけでは決して実現できなかったこの公演を行うことができたこと、そして、より多くの方に「この記録を届けたい」と改めて強く思います。

<クレジット>
2020年11月3日(火祝)
公演名:限定1組×6回転で贈る採算度外視スペシャル公演 Your Theater ~あなたのための貸し切り劇場~
会場:いわき芸術文化交流館アリオス 小劇場
出演:ロクディム(渡猛、宍戸勇介、りょーちん、小田篤史、名古屋淳、カタヨセヒロシ)、小西真理(即興ピアノ)
照明:山口明子
音響:鈴木匠
撮影〈live〉:會田将巳
撮影〈documentary〉:田村博之
撮影〈documentary〉:加藤隼平
撮影〈documentary〉:O
撮影インタビュー〈documentary〉:Erico
映像スイッチング〈live〉:永田マミ
制作:鄭慶一
主催:ロクディム・オフィス PlayGroundWork Inc.
共同主催:いわき芸術文化交流館アリオス
Special Thanks:エンゲキ☆アリペ編集委員、クラウドファンディングでご支援いただいた皆様



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