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詩「非現実の王国で」

頭の中のノイズが強くて食事に手もつかず
俺は熊のようにウロウロと部屋の中を丸く歩き回っている
時折思い出したようにスープをひとくち
様々なことが取り留めもなく頭をよぎり部屋の隅のわだかまりへ沈んでいく
また、次にそこから立ち現れるまで。

マクベスのあらすじ
女の髪型
うちの猫は鯖猫かと思われたが実はキジシロ
今朝見た夢は退屈で思い出すこともできない
現実も退屈で夢も退屈なのだが空想はそれなりに奇抜で
俺のミトコンドリアに溶け込んだノイズは俺の脳みそを掻き混ぜて知らんスープを勝手に作る
何これ。知らん色をしている。
なんでナツメグ入ってんだ
だから帰結点の景色なんていつも見えない
どこ行くんだと怒鳴れば俺の足も怒鳴りながらわかんねえんだと返す
凪いでいるのは窓の外だけ

ヘンリー・ダーガー
世界一青い孤独の王様
あんたの見た空と俺が見る空に何の違いもないだろう
あんたの墓に刻まれた「ARTIST」の文字はキリストの十字より尊い
踊らなければ ギャグをやらなければ 絵を描かなければ 架空を綴らなければ
生きていけない人がいる
臍の緒と創作がバグで結合した人種が
行為としての快楽
行為としての快楽
行為としての快楽
その果て
みんな裸足で独り歩いて行ってしまった
だから俺のノイズの中に立ち現れる人はいつも死んでいる
これも芸術家の名言のただの引用

死ぬのはいつも他人ばかりだ



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