名称未設定-1

詩「多動する股関節」

君のことを思えば、右脚の股関節が鳴った
白い骨が擦れ合って軋む音が、乗り遅れた電車のベルにも似ていて
君は乗車券を持っていたが、入れたポケットを忘れてしまった
外は嵐に打たれている
車輪が程なく止まるとしても、君は電車に乗るしかなかった
線路の小石を眺めているのは、君一人だったから
君は裏返しのズボンで堂々として、股関節を鳴らした
手の平を鉛筆で貫く代わりに
白い骨が抱き合わずにずれる音が、シャトルランの無慈悲な号令にも似ていて
君の酸欠を悪化させる
君はもう、乗車券を千切り食べてしまった
もはや柱を切り倒して、自転車に乗るしかなく
骨に似た色のゴムチューブが君を揺らして
蠕動する筋肉が、嵐を割いた
君が吠え声を吐き散らしても
発車のベルは聞こえなかった

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