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ルールの話

怪談なんかでよくある、聞くと呪われたり死んだりする話。
あれは何をもって「聞く」なんだろうか。
例えば、その怪談を既に呪われてる人ないし死んでる人に喋ってもらって録音をし、BGMとして聞き流しながらお料理やお掃除をしたとしよう。
掃除機や水の音でよく聞こえない部分もあれば、途中で宅配便が来て聞き逃す部分も出てくる。
子供のお迎えに行かなきゃいけなくなり、聞くのを中断して、途中で5時間くらい間が空くかもしれない。
あるいはテレビを見ている旦那に、呪われ済みの妻が話したらどうか。
ゲームをしている子供に、死にかけのお母さんが話したらどうか。
テレビを見ている旦那とゲームをしている子供は人の話なんて聞いていない。
けど音として耳には入っているはずだ。

1から10まで全てを聞いていないと呪われないのだろうか。
話が中断されてる間はちょっとだけ呪われているんだろうか。
聞こえているだけではなく、話を理解して初めて呪われるのだろうか。

ならば少し複雑な怪談を赤ちゃんにするとしよう。
もちろん赤ちゃんは聞こえているが理解はできない。
その後、その子の誕生日には毎年必ずその怪談を話すとしたら、一体何歳で呪われるのか。
無論、そんな家庭に生まれた自分の運命を呪うとは思うが。

また、日本語の分からない外国人に翻訳せずに聞かせるだけ聞かせたらどうなのだろうか。

見ると呪われる心霊写真を、写真には焦点を合わせず何かの背景として視界に入れたら呪われるんだろうか。
何が写っているのかも、もはやそれが写真なのかも分からないけれど、確かに視界には入っている。
それでも呪われるんだろうか。
動物に見せたらどうか。

呪いの動画を見ている最中に寝落ちしてしまったらどうか。

それでも呪われるのだとしたら、なんだか納得がいかないが、その場合は呪われないというのなら、呪いにルールでもあるんだろうか。
対象者がちゃんと聞いているか聞いていないか、焦点が合っているかいないかをジャッジしている係でもいるのだろうか。

こんなことを考えていると、映画「グレムリン」のあるシーンを思い出す。
プールで大量に増えたグレムリンから逃げる、主人公のビリーとギズモ。
途中で見つけた交番で大変なことになったと事情を話す。
ビリーは3つのルール
1,光に当てると死ぬ
2,水に触れると増殖する
3,夜の12時過ぎに食べ物を与えると凶暴なモンスター、グレムリンになる
を説明するが、警官たちは全く相手にしてくれない。
そこで一人の警官から質問が飛ぶ。
「じゃあ12時前に食べ物を与えて、それが歯に詰まり、12時を過ぎた時に取れたらどうなるんだ?」一同爆笑
ビリーは諦めてその場を後にする。
というシーンだ。

ビリーは何も答えなかったが、確かにその場合は凶暴化するのだろうか。
するのだとしたら歯磨きとデンタルフロスは欠かせない。
これも、何をもって「食べる」なのか。

世の中は曖昧な事で溢れている。
そのくせちゃんとルールを理解していないと、呪われたり、かわいいペットが獰猛な悪魔になったり、最悪死ぬんだから困ったものだ。

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