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マカオ旅行記2

二日目。

朝起きて、ホテルのビュッフェに行った。
ホテルの予約の時、朝食だけは付けておいたのだ。
どんな料理が並んでいるのかと、ドキドキした。
良い匂いが漂ってくる。
そんなに広くないスペースに、横長のテーブルがいくつか並んでいた。
自分の席を確保して、ご飯を取りに行く。
春雨や春巻きなど、全体的に中華っぽいメニューは多めだったが、別に特別なものは何もなかった。
そして朝から少々重かった。
窓の外の空港を見渡しながら食べ終えた。

ご飯を食べ終えて、いよいよこの旅の大本命、バンジージャンプに向かう。
バンジージャンプはマカオタワーにある。
高さ233m。
今のところ世界一高いジャンプサイトだ。
ホテルからマカオタワーまでは少し離れる。
どうやって行こうか考えた。
距離的には歩けなくはなさそうだが、途中にある大きな橋は歩いて渡れるのか。
迷った結果、思ったより安かったためホテル前のロータリーからタクシーに乗った。
運転手さんに地球の歩き方を見せて、なんとかここへ行きたいと伝えた。
走り出し、しばらくして大きな橋を渡る。
少し遠くに、初めてマカオタワーが見えてきた。

遠くにそびえるマカオタワー。天気はドス曇り。

15分ほどで到着した。

お分かりいただけるだろうか。これの、
ここから落ちるのだ。ちなみに土星の環みたいな部分を歩いたりタワーのてっぺんの棒を登ることもできる。

いよいよだ。と、胸踊らせながら建物に入る。
受付を探すも、どこからどう登るのか全く分からない。
しばらく建物内をぐるぐるして、ようやくエレベーターを見つけた。
ご覧の通り、無機質なコンクリートの建物で、内側も変わらない。
エレベーターには大きな窓が付いていて、景色、コンクリート、景色、コンクリート、景色…のように高度と緊張感を上げていく。

エレベーターより。

到着して受付に行き、予約していた旨を伝える。
ロッカーを案内され、荷物を全て預け、渡された紙に色々記入し、最後にサインをし体重を量り手に何か書かれる。
バンジージャンプではお決まりの流れだ。
紙を受付に渡し、この説明を読んどけとばかりに英語の注意事項を渡される。
この2ヶ月前に日本一のバンジーを跳んだから、図を見ればなんとなく分かるが、詳しいことはさっぱりわからない。
命に関わる事を言ってる気がするが、大丈夫だと信じるしかない。

しばらくすると、外からスタッフさんが来た。
そして案内される。
もう完全に外だ。
そこには何人かの陽気な兄さんがいた。
僕が日本人だと分かると、片言の日本語でいつ来たのか、誰と来たのか、バンジーは跳んだことあるかなどを聞かれた。
最終的に日本から一人で来たと分かると、数人で「ワァーオ、キー○ガーイー!イェー!!」とハイテンションで言われた。
この人に日本語教えた奴出てこい。
その後は椅子に座らされ、手際よく準備。
しっかりとハーネスを着け、手にGoProを付けてくれた。
そのまま立ち上がりGoProや固定のカメラにコメントをする。
両足を繋いでいる金具にバンジーのコードを繋ぐ。
ジャンプ台に進むも、両足が繋がれていてペンギン歩きしかできない。
それを見て怖がってると思ったのか、陽気な兄さんは背中をバシバシ叩きながら片言で「ダイジョブーッ!」と笑う。違うんだ。
ジャンプ台からつま先を出し、手すりを掴みながら、手元のGoProと天井のカメラに最後のコメントを残す。

最後の言葉を残す。

眼下には人や車がアブラムシくらい小さく見える。
さっきタクシーを降りた、タワー前のロータリーも見える。
大きなカジノやリゾートホテル、遠くにはボロボロの高層アパート。
両腕を横に伸ばし、十字に構える。
そして唐突に勢い良くカウントが始まった。
「ヒァウィーゴー!ごー!よん!さん!にー!いち!」
思い切り跳んだ。

そして、
落下。

昔テレビの罰ゲーム企画で見たマカオタワーからのバンジー。
まさか自分が、罰ゲームでもなんでもなく、自主的にそこから跳ぶなんて夢にも見なかった。

落下時間の長いこと長いこと。
そしてまあ頭に血がのぼること。
でもとにかく、最高の気分だった。

地上に下ろされ遠くのカメラとGoProにコメントを残し終了。
そして一人海外でやるバンジーの終わったあとは、虚しかった。
誰とも共有できないのだ。
それまで最高の笑顔を浮かべていた男は、一瞬で真顔に戻った。
次は絶対に誰か道連れにしようと心に誓った。

そのまま、預けた荷物と写真や映像のデータを貰うため、再びタワーを上る。
上に行く道中、全く知らないどっかの国の観光客の団体にヒーロー扱いしてもらった。
恥ずかしかったが、誇らしくなった。
荷物を取り、データを受け取る。
一つ下の階に行くと、展望台になっていた。
床がガラス張りになっている箇所がいくつもある。
子供が震えていた。

子供を震え上がらせるには十分な高さ。


少ししてタワーを降りた。
しかしそこでしばらく立ち尽くす事になる。
そう、この後の予定が何も無いのだ。
大いなる目標を達成すると、人は立ち尽くすのである。

さて、マカオ旅、残すところあと2日。
どう過ごすか。

続く。

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