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BAMBOO GIRL Ⅱ

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文芸社に今は時期じゃないね〜とつっぱねられてしまった、かわいそうな原稿たち。 SFジュブナイル『BAMBOO GIRL』の続編として書き始めた作品です。 本当に数えるほどですが実…
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#みんなでつくる夏アルバム

第三夜【この旅の結末はどこか】scene3

☆☆☆

 火継の肩と首の隙間に腰の出っ張りをひっかけ、左腕でがっちりとベルトを固定されてはいたが、空気抵抗によって二人がバラバラにされないのが不思議でならなかった。上昇する時は背中をくの字に曲げ、上向の空気抵抗を減らすのと同時に、火継からかかる力で胃が押し潰されることを少しでも避けようと努め、逆に下降する時はその小さな体からわずかでも離れないように、火継の脇腹に手を回してヒルのように頭をへばりつ

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第三夜【この旅の結末はどこか】scene2

☆☆

 京都に着いて一時間ほど経った頃か。
 二〇六系のバスを降りたセンジは、右手に高速道路、左手に瓦屋根の伝統家屋のたたずむ、未来と過去の逢瀬を歩いていた。乙組の担任・歴史の下園は、数人の女子生徒に囲まれながら先頭を歩いている。三十人あまりの隊列の隅々まで意識を配っているはずもない。しかし先ほど宿に着いた際に一度、出発する時に一度と、かなりの頻度で点呼を取る几帳面ぶり。目的地についたらまたやる

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