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BAMBOO GIRL Ⅱ

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文芸社に今は時期じゃないね〜とつっぱねられてしまった、かわいそうな原稿たち。 SFジュブナイル『BAMBOO GIRL』の続編として書き始めた作品です。 本当に数えるほどですが実…
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2021年7月の記事一覧

第三夜【この旅の結末はどこか】scene1



 新幹線に乗り込んでから四十分ほど。窓に切り抜かれた景観は、一面の茶畑から灰色の市街地を経て、再び変化の兆しを見せていた。
 代わり映えしない田舎の風景に、突然無数のソーラーパネルが映り込む。しばらくして車体が微かな登りの傾斜にさしかかると、塀に塞がれた視界が一気に晴れて、一面に、キラキラと輝く紺碧の水面が姿を現す。
 京子は慌てて足元に置いた桃色のリュックサックのジッパーを引いて、足をもぞ

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