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あの子は、放置子

息子の同級生の男の子の話です。

その子を仮にA君としますが、同じ保育園から上がってきた同級生です。

私の仕事の都合で、息子は、幼稚園から通勤経路の途中にある保育園に転園することになり、そこにA君はいました。

途中から利用を始めた保育園だったので、知り合いもおらず、また、保育園ですので、お迎えの時間が重なる保護者とはよく会うことになりますが、顔を合わせない保護者とは、全く接点のない生活が続きます。

息子を迎えに行く際に見かけるA君は、真冬に半ズボンを履いていたり、両足とも大きな穴の空いた靴下だったりと違和感がありましたが、だからといって、それぞれの家庭のことですから、「寒くないのかな」とは思いましたが、そう思うだけにとどまっていました。

A君のお母さんと顔を合わせることはほとんどありませんでしたし、会っても会釈したり、挨拶する程度です。A君のお母さんは、いつも忙しそうでした。

保育園の生活を送っていく内に、A君のお母さんが他のお母さん達の輪に入ることはなく、かと言って、仲良くしゃべっている保護者がいる訳でもなく、参観日もいつも遠くで立っていることに気がつきました。しきりに、誰かと電話で話をしていることも多く、『浮いている』という印象を受けました。

ですが、途中入園した私も知り合いのいない保育園だったので、基本、一人でいたし、他にも一人で子どもを見守っているお母さんもいたので、そんな人もいるんだな、群れるのが嫌いなのかな、ぐらいの認識でした。

ただ、やがて、A君のお母さんが他の保護者に避けられていることが分かってきました。息子のクラスのグループLINEに誘われた時、A君のお母さんが入ってなかったことが決定的でした。

『関わりたくない存在』

暗黙のルールのようでした。

卒園後の謝恩会ですが、私は、仕事の都合で謝恩会には参加しませんでしたが、A君んちは当然のように参加していませんでした。誘われてすらいないようでした。

状況だけ見れば、いじめのようですが、A君のお母さんもこちらを避けていた印象です。


大きなトラブルもなく、卒園し、小学校でA君と息子は同じクラスになりました。

最初は、A君と一緒に遊んでいたようです。

次第に、遊ばなくなったとは息子に聞いていましたが、成長に伴い、遊ぶ相手が変化するのは当然のことですから、また、違う保育園からきた子どもと遊ぶようになるのは自然のことです。そんなものだろうと気にはしていませんでした。

参観日でA君のお母さんを見かけますが、相変わらず、一人でいました。

息子は学校の敷地内にある学童保育に通わせていましたが、A君も同じ学童保育にいました。

息子を迎えに行く時に見るA君は、やはり、真冬に半ズボンを履いていたり、穴の空いた靴下だったり、夏に分厚いパーカーを着ていたりと、ちぐはぐな印象でしたが、私が口を出すことではないので、そんな格好をしている変わった子という印象がついていました。

息子の学校は、学年行事と言って、子どもと保護者の交流会が年1回あります。ただ、土曜日なので、参加できない保護者もいますが、ほとんどの子どもが参加する行事でした。

A君も当日参加していましたが、お母さんはいませんでした。

他の子は、全員お母さんか、お父さんが参加していて、A君だけが保護者がいないという状況でした。保護者の変わりは先生がしてくれていましたが、A君は、どう思っただろう…と不憫でもありました。

息子に聞くと、何人か参加していない児童もいたようです。強制参加ではないので、それなら、出なくても良かったのではないかと感じました。


息子は、小2になり、A君とまた同じクラスになりました。

私は、仕事を辞めたので、息子は学童保育に行くこともなくなりました。A君を見かける機会は、参観日ぐらいでした。

1学期のある日、そろそろ、息子が帰ってくる時間の頃、学校から電話がかかってきました。


息子がA君に殴られた、という衝撃の内容でした。

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