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日常系こそ話を動かすべきなのか

皆さんは日常系作品ってお好きですか?私は大好きです!!
「フルハウス」などのホームドラマから日常系漫画の草分け「あずまんが大王」など人気作品は山ほどありますが、日常系って読むのはいいけど描くのはめちゃくちゃ難しいのですよね…。

日常系とはエンターテイメント作品のジャンルの1つ。
一言で言うと「劇的なストーリー展開を極力排除した、登場人物達が送る日常を淡々と描写するもの」ニコニコ大百科より

拙作『狼少年は嘘をつかない』も、続編である『狼少年は嘘をつかないquestion』も、1話完結の形態をとっていて毎回お話は一応完結します。
作品全体を貫く大きなストーリーはうっすらあれど、毎回ほぼほぼ固まった展開がありほぼほぼ同じキャラが出てくるという、日常系に限りなく近い形の作品です。そして『狼少年無印』の時はその物語形態に、本当に毎回苦しんでいました。

日常系の何が難しいのか

毎回ウンウン苦しんでいたわけですが、一体何がそんなに難しいのか?
それは、展開を変えずに面白くしないといけないから。
物語の始まりと終わりで、人間関係が大きく変わってはいけない。しかも毎回同じオチを使うことはできない。
この制約で隔週という短いスパンで毎回お話を作るのって、かなり大喜利的な筋肉が必要で、結局同じオチ使ったり設定に頼ったりしてしまった…。
(でも当時私には大喜利筋肉ムキムキの担当さんがいたので、本当に本当に助かりました。その節はご迷惑をおかけしました…。)

しかし最近、続編である『狼少年Q』を描いていて思ったのが、日常系こそ話を動かすべきなんじゃないか?ということ。

日常系の話を動かしてみたら

それまでは「日常系の人間関係はよっぽどのことがないと動かしてはいけない!」となぜか思い込んでいたので、続編では恐る恐る大きな展開を入れるネームを切りました。

▼主人公光四郎が無職を脱するかも?という大きな展開

▼「嘘をつくと狼になる」せいで思わぬ障壁が…


すると…話を作るのが今までにないほどスムーズ…。
「劇的な展開」を加えた後にキャラがいつもの人間関係に落ち着こうとするので、その過程を描いていくとお話がするっと(※当社比)出来上がったのです。『狼少年無印』の時はこんな大きな展開入れる勇気がなかった…。

▼ラストはいつもの展開に戻る

今まで怖がっていた「劇的な展開」は、あくまで「変わらない日常」を際立たせるための「劇的な展開」だったんだ……!!

遅いんだ気づくのが

続編制作決定後『狼少年無印』の資料を整理していたら、昔、担当さんと打ち合わせしたノートが出てきました。
▼そこに担当さんから言われたであろうことがしっかり書いてありました。

ん……この……特に②のとこ………???
『狼少年無印』から2作品他の連載を経て、やっと体感で「わかったー!」と感じたことが、めちゃくちゃはっきり書いてある。

コピーして机の前に貼っときます。これを見ながらネームやろう。
『狼少年無印』をお持ちの方は、続編『狼少年Q』と展開の違いを見比べてみても…いいかもしれません…。


❤︎第1話はこちらから↓


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