見出し画像

【小説】フラッシュバックデイズ 34話

この小説は決して違法薬物を推奨するものではありません。
架空の話であり、小説、エンターテイメントとしてお楽しみください。

34話 伝説の夜 中編

気持ちは最前列で踊り狂いたいところだが、まだ1日目の序盤だ。ペース配分を考えDJブースがかろうじて見える位置で軽く踊りながら周りを見渡してみた。名前は知らないが見たことある顔がチラホラ見え妙に安心した。
このPARTYは俺にとって特別だ。
初めて自分一人で足を運び、見つけたPARTYだという思い入れもあるが、何か他のPARTYとは異なる何かがある。
初めてのPARTYの場所は今夜と同じ場所だった。
今夜のように、こんなに人はいなかったが、とにかく皆が楽しそうで、皆遊び慣れてて、綺麗な女の人が多くて、、、、自分の憧れていた空間を現実にしたような雰囲気だった。
最初はもちろん一人だったが、遊びに行くにつれ、このPARTYでしか出会えないPARTY友達や知り合いが増えていった。
最後だからなのか、アシッドのせいか妙に感慨深くなっていた。

気づけばアシッドが効き始めたのだろう、体の境界線が妙にはっきり感じられるようになった。身体を動かすの一つ一つの動作が気持ちよく、心地良い四つ打ちに身体を揺らしながら、目を閉じ、独りの世界で踊っていると、誰かの身体に当たった気がして目を開けると、ヒロ君が笑顔で俺の隣に陣取って踊っていた。ヒロ君はいつも登場するタイミングがバッチリだ。
何か言うわけではないが、調子はどう?俺は絶好調!と言わんばかりの笑顔だ。こんな感じでヒロ君はいつもピースなバイブスを振りまいてくれる。
まるで玉を食った時のように気分が胸が暖かくなりつられて笑顔になった。
一家に一台ならぬ、PARTYにはヒロ君は必要不可欠な「アゲキャラ」だ。
気づけば地下は人で溢れ、身体を大きく動かしながら踊るのが難しいほどになっていた。
俺達二人があまりにも楽しそうに踊っている為、隣で踊っていた二人組の女の子が釣られて笑いだす。
「普段見ないけど、大阪の娘?」
「東京から二人で来たの~、大阪やばいね」
ヒロ君がすかさず、
「ようこそ大阪へ~お酒奢るから行こうよ」と俺達二人の必勝ナンパパターンをかまそうとした矢先、
DJの音がフェードアウトしたかと思うと、殴られたかのような衝撃のシンバルの生音が後ろの方で聞こえた。
俺は一瞬何が起こったのかわからず、
LIVEが始まったと認識するまでに時間がかかった。
今までDJブースに向かっていた人の波が後ろの方に一気に流れ、
その間にヒロ君とも東京の女の子も見失った。
注意深く音を聞いていると誰のLIVEかはすぐにわかった。
土着的でファンキーなリズムにギターを響いている。
まるで今までのDJが前座で、まさにこれから祭りが「始まった」と感じさせるようだ。
腹に来る4つ打ちが流れると地下のフロアのボルテージが爆発した。
すでにかなり盛り上がっていたが、明らかに皆の身体の動きが激しくなり、思うがままに踊り、歓声、奇声が飛び交い、ストロボと相まって異様な光景となった。俺はというと、踊るというより、勝手に動く身体に従うだけといった感じだ。
あの大人しいマキがキャーキャー騒ぎながら飛び跳ねている。
俺に気づくと飛び跳ねながら抱きついてきた。
「ヤバいね~今日っ!」
確かに今日はヤバい。
この雰囲気は初めてだ。
この場所の最後を思う存分楽しもうと言う皆のバイブスがついに最高潮に達した瞬間だ。
まだ一日目の中盤だ。これからどうなるんだろう。
何かすごい夜になりそうだという予感がした。

つづく

◆関連書籍/グッズ◆
下記のリンクから購入いただけますと私にアフィリエイト収入が入ります。
よろしくお願いします。

キャプチャ51

キャプチャ52

キャプチャ49


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?