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【小説】フラッシュバックデイズ 37話

この小説は決して違法薬物を推奨するものではありません。
架空の話であり、小説、エンターテイメントとしてお楽しみください。

37話  集大成

俺とフジオは片っ端から友人達にパーティー話をしていくと、予めピースの揃ったパズルを組み立てていくかのように、DJ、バンド、VJ、フライヤーのデザイン、音響、箱、などなど、必要なすべてが揃っていった。
トントン拍子とはこの事だろう、半分冗談で始まった話はあっという間にパーティーが現実味を帯びてくる。
俺達は皆のスケジュール調整をして、日程を決めるだけだった。

場所はミナミの高架下のライブハウス兼クラブの箱。
春の花見日和の爽やかな快晴の日曜の正午からOPEN。
通常のクラブのように、夜スタートではなく、日曜の昼スタート~夜終わりにした。
出演者が多いという事もあるが、俺の一番懸念した朝方にほとんど人がいなくなる事態も防げる。これならどんな大物DJが来ても日が被ることはない。日曜の昼からのイベントなら出演者も含め何かを我慢してというようなことはなく来れると踏んだ。

箱は二部屋有り、ライブとDJに分け、ライブの転換時に人が出ていかないよう、入り口→DJブースWITHバーカウンター→ライブハウスといった具合に配置した。身内とはいえ最低限のリペクトとして、出来るだけたくさんの人の前で気持ちよくプレイ出来るよう人の流れを一番に考えタイムテーブルを組んだ。

身内ノリの延長のようなパーティーとはいえ、一応主催者なのだが、いや、だからこそ客目線にならなくてはと言う信念の元、当日パーティー開始と同時にLSDの紙辺を舌下に挟んだ。

序盤こそ人は少なめだったものの、出演者が増えるに連れその客や知り合いも雪だるま式に増え、やや小さめの箱はいい感じに人で埋まり始めた。
俺の頭の中はLSDが効き始め、ただでさえ大忙しだったのだが、誰々が遅刻した、お釣りが足りない等のちょっとしたやらなければいけない事のオンパレードで、頭がパンクしそうだったが、その都度、周りの友人に助けられた。
続々と現れる懐かしい顔と再会し、皆と数え切れない程ハグをした。フロアを見渡すと皆それぞれがこのパーティーを楽しんでいるようなグッドバイブスに溢れていた。

あっという間に最後、俺のDJの番がやってきた。
もはやMIX出来るような状況ではなかった。
俺が落ち込んでいるドン底の時に何度も救われた一番好きなレコードに針を落とし、フェーダーを少しづつ上げていく。ディスコサウンドがフロアに満ちると、フロア全体が明るくなった気がした。

笑顔で踊る皆の顔を見ているとこみ上げるものがあった。

ブースに懐かしい見覚えのある顔が近づいてきた。
ダイサクだった。(第1話参照)
「むちゃくちゃええパーティーやな」
俺に初めて草を吸わせてくれた男が俺のパーティーを笑顔で褒めてくれた。
大阪に来て良かった。
何か全てが報われたような気がした。

LSDのせいか、俺はこのために生まれて来たんだと確信した。

間違いなく俺の人生で一番輝いている瞬間だった。

つづく

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よろしくお願いします。

この漫画本当おもしろいです。DJやクラブ好きの方にはあるある連発。
未読の方は是非。

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