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空気はほんの少しだけ青い

と、思っている。

多分、空の色が空気中に溶けているのだと思う。空が一層青い日は、青が濃い。遠くに見える山も建物も、薄い雲の向こうに青く沈んで見える。

それはきっと、空気が少し青いからなんだと思う。空気が青いから、世界も青く見えるんだろう。

綺麗だと思う。
透明な青がこの世界のどこにでもある。

特に朝と夕方、青色が深くなる瞬間があって、その時間が特に好きだ。
表すなら群青とか、瑠璃とか、その辺の色なのだろう。

手を翳してみたら、自分の手も青い空気の中を泳ぐ。

そういうのが綺麗だと思う。

キラキラしたり瞬いたり煌めいたりしないけど、十分綺麗な世界の中で暮らしている。
これはきっと幸せなことだと思う。

電車に揺られながら、よく1週間の半分生ききったと思う。よく生きてる。偉い。
そうでもしないと、メンタル貧弱体質の私はすぐいろんなことを辞めたくなる。
でも偉い。ちゃんとそれなりに働けてる。いや、ちょっとまだ、働けてるとまでいかないかもしれないが。

そんなヘロヘロの私でも、こうやって透き通った空気を吸って生きられてるんだなと思うと、ちょっとだけ幸せな気分になれる。

私自身はちょっと、あんまり、大したことない、綺麗とは言い難い人間だけど、
それでもこんなに綺麗な場所で息させてもらってるんだな。

私が今もちゃんと生きてる理由は、多分この空気が好きだからだと思う。
この世界の空気がちょっと青くて透き通っていて、綺麗だから、まだ私はちゃんとこうやって生きていることを好きでいられるんだと思う。

めっちゃ病んでる人っぽくなった。
病んでないよ。わりと元気です。すいません紛らわしくて。

勝手に誰だってそうだと思ってるけど、少なくとも1度や2度は死にたくなったことはあると思う。
私にもそういう時があって、それでも死なずにちゃんと生きてるのは、この空気までは嫌いになれなかったからだ。
もちろん死ぬのって怖いし。

田舎の空気が、というけど、別に田舎じゃなくたって、都会だって、東京だって、ちょっと手を伸ばすと、空の色を溶かした空気があって、ほんの少しだけ青くて、私の手に触れている。

だから大丈夫だと思う。当分私は元気に生きれる。
そんな気がする。

駅の向こうの木に、鳥が二羽とまっている。ぱたぱた忙しなく羽を動かして、枝を揺らして飛んで行った。
やっぱり、今日も空気が青い。

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