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レッド・ホット・レッドアイ・ビューティーズ

「そいつの目ン玉抉り出しな、ハニー」
 ハンドルを握っているルルが言う。
「ドクターのところでね、ダーリン。ここではだめ」
 わたしは答える。ルルは可愛らしく悪態をつく。
「用があンのは社長サンの眼だけだろ、ハニー。目ン玉引っこ抜いて捨てようよ」
「うっかり死んじゃったら困るわ、ダーリン。きちんと処置しなきゃ。彼はVIPなんだから」
 後部座席に座っている哲也・ アンダスンはわたし達の会話を聞きながら、唇の端に微笑みを浮かべていた。彼は真紅のバイオウェア義眼が嫌味なくらい似合うハンサムな三十男。ゆったりと膝の上で手を組み、今しがた美女二人組に偽装タクシーで誘拐され、脇腹に拳銃を突きつけられているとは思えないほどリラックスしていた。
「聞いたでしょ、アンダスン社長?貴方の義眼摘出が済んだら解放したげるから」
 わたしがアンダスンの背広を銃口でつついて言ったその時、タクシーが何かに派手に衝突し、車内の全員がつんのめった。

(続く)

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