私たちはいくら給料をもらうべきなのか
「30年前の初任給と同程度の生活ができるだけのお金を現在価値で手取りにするためには、額面給料がいくらあればいいんだろうか、今」
「本当はそんなこと考えなくても「当たり前」の給与の額が自然に上がってなきゃいけないはずなのにそうじゃないから、たとえば20万が25万になりますよとか30万になりますよと言われたら素直に喜んでしまいそうになるのだけれど、30年前の額面20万とは、引かれる額もその残りでできることも違うわけで…と考えたらどの水準で喜んだらいいのか分からなくて。」
今朝、Fedibirdで呟いた内容です。
出かける前に思いつきで呟いていたのですが、帰宅して本格的に計算してみようと思い立ちました。
1993年から見た現在の貨幣価値
貨幣価値を比較するには消費者物価指数を使えばいいよ、と日本銀行が言っていたので(もっとも、正確に見るためにはもっと色々な数字を見なければいけないとの記事も見かけましたので、細かくやりたい方はご自身でお調べください)、とりあえず採用してみます。
私はちょうど30歳で1993年生まれなので、キリよく基準をそこに置いてみようと思います。
ところが面倒なことに、1993年の統計と2023年の統計では、消費者物価指数の基準年が違っています。
調べた結果、
1993年=2015年を100として97.1
2020年=2015年を100として101.8
2023年=2020年を100として106.2
と分かりました。
ここから戻していくと、1993年を100とした場合、2023年は111.34くらいということが分かりました。
国民負担率の違い
国民の生活の水準は額面のお給料ではなく、手取りで決まります。
そこで、支給されたうちの何割が自分の手元に残るのかを調べます。
1993年の国民負担率は35.9%、2023年の国民負担率は46.8%だそうです。
すると手取りは100%から国民負担率を引いて、それぞれ64.1%、53.2%となります。
1993年水準の初任給は、現在で言うといくら?
1993年の初任給を調べたところ、大卒で190,300円と出ていたのでそちらを使います。
↑のリンク先では現在の価値で言うといくらになると横に書いてありますが、これは差っ引き後の生活水準とは一致しないので無視します。
なお、現在価値を出すための基準を消費者物価指数ではなくこっちで見れば良いのでは?という話はありそうです。
リンク先は消費支出ベースで見たもので、1993→2023で見ると114.7くらいと増加率が少し多いです。私は統計が専門ではなく、どちらのほうが妥当と言い切ることはできません;とりあえずここでは最初に調べた消費者物価指数を用いて計算します。
さて、1993年当時、190,300円のうち、手元に残るのは64.1%=121,982円くらいです。
これを現在の貨幣価値に直すと、135,815円。これが現在私たちの手元に残るべき額であるとすると、額面給与は135,815円=53.2%であるときの100%の金額になりますね。
さて、気になる100%の額面給与の額は…
255,291円
でした。
もっとも細かいことを言えば、初任給には社会保険料がかからないので税金部分のみで計算すべきだとすると、1993年当時24.8%、2023年28.1%なので、これで計算すると221,605円となり、まあまあ聞き覚えのある額になります。とは言っても、社保がかからないのは最初だけで、給料が上がる前に社保も支払う生活がやってくるわけですから、この計算が果たして妥当なのかは微妙なところです。
30歳時の給与はいくらになる?
さて、初任給が1993年当時の水準なら25万円!ということは分かりましたが、私の年齢、つまり30歳であれば、1993年当時の給与水準ではいくらになるでしょうか。
…と言いたいところでしたが、残念ながらネットで読める統計のもっとも古いものが平成9年=1997年でしたので、そこで計算してみます。ちなみに消費者物価指数から計算すると、1997年を100とした場合の2023年は108.65くらい、国民負担率は36.3%です。
統計調査が5歳刻みで30歳がちょうど区切れめなので、公平を期して2区分を平均してみましょう。25~29歳と30~34歳の平均値は年収411.5万円です。
このうち、手取り部分は63.7%ですので、大体262.1万円。
これを現在の価値に直すと、284.8万円くらい。
そしてこれが手取りであるとして、控除前を計算すると…
1997年水準の30歳ごろの給与水準を現在で言うと
年収535万円程度
となりました。
ごひゃ…ええ…?????
計算合ってますよね?誰か検算して!?
ちなみに仮にボーナスが年間で3か月分とすると、月当たりの給料は35万7千円くらいになります。
現実は?
さてここで、現実の2023年を見てみましょう。
令和4年水準 30歳ごろの平均年収=463万円(2区分平均):ボーナスが3か月分の場合の参考月額30万9千円程度
上記計算との差額 72万円
大卒初任給 218,324円
上記計算との差額 36,967円(税金のみでの計算だと差額3281円)
おわりに
ほんの思いつきでの計算でしたが、主に年収の結果を見てちょっと気が遠のいたと言いますか…
数字に弱い人がざっくりと計算しているので絶対に合っているとは言えず、ぜひ検算していただきたいのですが、それにしても、私たちはもっともらっていい!もっと給料上げてくれないと生活できないぞと言って良い!ということですね。
また、税金の負担だけで考えれば現実とあまり差がないことから、上がっているのはもう本当にひたすら社保!ということもよく分かります。
こんなもんなのかなあ、と思っている方にこの記事が参考になれば嬉しいです。
この記事には使用した数字の根拠URLをすべて載せているので、ご自身の生まれた年との比較、親との比較など、様々な比較をご自身で行うこともできます。
自分が子どもの頃に想定していた生活との乖離を感じてしまう時はぜひ、その頃の数字との比較をしてみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?