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#春
透明日記「春のゆるい日」 2024/04/17
昼食後、日陰になったベランダで毛布が揺れるのを見る。空は青白く霞んで静かな雲を流している。近隣で金属を叩く音、背景にはぼやけて響く飛行機の騒音。中学校のチャイムは薄く伸び、ゴミ屋のメロディーが日常を醸す。外壁工事の灰白色のメッシュシートが風を孕んだり逃したりして、時間のゆるい流れを見せる。
昼間のゆるやかな静けさに身をひたす。どこにでもあるような退屈な風景にやすらぐ。退屈な風景の断片は普遍的な空
透明日記「春に」 2024/03/30
起床。甘い眠気は蜜のよう。
蜜はねばねばと意識をおおう。朝早く旅に出た母のいない家の静けさの中、蜜を透かしてゴミ捨ての仕事を思う。ぼやぼやと曖昧な「しなあかん」という声が、蜜の厚みに阻まれて、限りなく小さくなっては、消え入る頃に大きさを増す。憎らしい。蜜蝋にまどろんでいたい気持ちを渋々、ゴミの存在を意識する方向でまとめる。ゴミ捨てに対するいけずな気持ちもあって、まだいけると十分ほどは布団でまどろ