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わからんちん伝説 (頑張れ館長の巻)

 親の目を離れた小学一年生が学童保育の場を荒らしまくる実話である。

登場人物はすべて仮名でございます。10年くらい前のものからつい最近のものまでございます。どうぞご笑納下さいますようお願い申し上げます。

今回の登場人物(小学一年生)
てんま おちょーしもの
はると ちょっぴり大人の雰囲気
ありす ミス理不尽
館長 40代男 


電車ごっこ事件

 放課後の雨上がりの道を女の子が一人怒りを振りまきながら歩いて来たのが見えた。

テンマ「だから〜ぁ わざとじゃないって言ってんじゃん」

後ろから二人の男の子がフラフラついてくる。会館のドアを開けたのは、ありすちゃんだった。怒りで目が三角になっている。何があったか聞いてみる。

「ありすちゃん、おかえりなさい。何をそんなに怒っているの?」

アリス「るみ先生(私)は関係ないの!」

泣くと怒るの境界線上でなんとか泣かずにいる顔をしている。

アリス「館長を呼んで!館長を!」

社長をだせと叫ぶテレビでも見たのかな?と思ったが、こちらも仕事である。

「ありすちゃん、何があったのか先生に教えて」

アリス「@てんまが&%¥?わたしを%@つきとばした」

 なるほど、日常的に起こるいつものことである。
よく聞くと仲良く電車ごっこを三人でやりながら歩いてきたが、てんまが調子に乗ってありすちゃんを突き飛ばしたようだ。そのせいで白いタイツが泥だらけになったという。

 騒ぎを聞きつけて館長がやってきた。

館長登場

館「どうした?」

「ありすちゃんが館長に言いたいことがあるそうです」

アリス「てんまが@¥%&てんまが……ウェッ、ウェッ」

あー泣いてしまった。感極まったらしい。
仕方ないので私から館長に説明した。
すると館長は

館「電車ごっこをしながら帰ってくるのが悪い」

えっ?そっち?ありすちゃんはてんま君を叱ってほしいだけなのでは?

館「遊びながら帰ってくるのが悪い!ハイ!オシマイ!」

と言ってその場を去ろうとした。

アリス「かならずちょっかいかけてくるから無理!」

館「じゃ、三人で帰ってこなければいいじゃないか」

アリス「危ないから一人で帰るなってママから言われている。お友達と帰るようにって」

館「じゃあ別のお友達と帰って来なさい。わかった?」

アリス「わかった」

 すると予期せぬ展開が起こった。

あれ?

テンマ「僕には友達がいない。はるとが親友だ」

そう言っててんま君までが泣き始めた。いつも三人で行動しているので別のお友達と来ることができないのだなと直感した。しかしはると君は

ハルト「オレは一人で帰って来れるよ」

アリス「一年生なんだから一人で帰るなんて危険だよ」

ハルト「オレは親にも言われてないし大丈夫」

テンマ「僕はどうしたらいいんだよ!」

館「はぁ……あのね三人仲良く帰ってこれる?」

アリス「えっ?無理だと思う。必ずちょっかい出してくるもん」

館「じゃあ、お母さん呼ぼうか?」

出た!伝家の宝刀である。

アリス「絶対やだ!」

ハルト「オレもいやだ!」

テンマ「ウェッ、ウェッ&%¥@」

あー完全に泣き始めた。ちょっとした修羅場である。

すると……

「あらー何泣いているの?」

突然ありすちゃんのお母さんが館長の後ろに立っていた。子供たちは全員凍りつくのがわかった。しかしありすちゃんが叫んだ。

アリス「館長が三人で帰ってくるなって言うんだ!」

ハルト、テンマ「館長にひどい事言われたんだ」

館「えっ?、えっ?言ってない、言ってない」

アリス「言ったもん」

ハルト、テンマ「言った!言った!」

あーこれは地雷を踏みましたね。
ありすちゃんのお母さんには「後で理由をちゃんと説明しますから大丈夫です」とフォローを入れた。
なんだかんだで三人は最後はいい友達にまたもどりました……というお話でした。



 






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