グランジブーム。

メタルが葬られずるずると暗い歌詞を歌うだけのだらしない暗黒の

音楽だけが量産されたこの時期に、

1つだけグランジの皮を被ってメタルを撒き散らすものありけり


他のバンドがただただ『不幸だ、死にたい』と歌っていた時

レインは本当に死へ向かう道のりを記録し我々に見せていた。

ファーストなどでは普通さを見せていたが出世作DIRTで本性を現した。

パンテラが旧態のメタルを進化させつつもその間をとりもちつつ先鋭化したのとは正反対に、懐かしい音使いやエフェクター効果を重いサウンドで生まれ変わらせ、メタリカが真似をした。

しかしレインのお経を読みながらトリップしていくようなボーカルだけは、

誰も真似ができなかった。

彼はドラッグに溺れすぎていたし、「死ななくちゃいけないんだ」といつもうろたえていた。それでもギリギリしがみついていたのはバンドのメンバーやファンや家族であって音楽はとっくの昔に彼を救う手段ではなくなっていたんだ。


レイン在籍最後のアルバムはディープに深化した方向性であったが、実際は

レインのテンションが限界だったのだと思う。

彼はきっと、

生まれて、

音楽が好きなガキになり、

そのままヒーローになったが、

朝起きてベッドから這い出ることすら疲れ果てるほど、人間として生きるには

優しすぎたんじゃなかろうか?


ほら、こんなに染み入る声をしているじゃないか。

日本公演でネットによじ登ったりしたのも

きっと彼の強がりだったんだと思う。



投げ銭を旅費にして旅をしてレポートしたり、リクエストを受け付けて作曲をしたりしています。