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New体育論-Management Perspective-

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小学校で体育を指導しながら、スポーツ産業のマネジメントを学んだ私が、スポーツが発展するためにあるべき体育の姿を様々な切り口から解説するシリーズ。これまでにはなかった「新しい体育の…
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#最近の学び

運動会の「二層構造」を解き明かす

昨年度は多くの自治体が運動会の中止や縮小を余儀なくされた。新年度になって、新しい運動会の形を模索する必要に迫られている。「新しい様式」への変革が言われるようになって早一年が経ったが、本質を残したまま上手く「フォルムチェンジ」できた運動会はどれだけあるだろうか?本質を理解していない人が勝手に表面だけをいじくり、結果的に「骨抜き」状態で身もふたもない運動会になってしまった学校はないだろうか? 新しい運動会の姿を模索する前に、まずは「運動会」という年1回の特別な行事が持つオリジナ

その準備運動、合ってますか?

先日、ある教員志望の学生さんからこんな問い合わせをいただいた。 ストレッチは動的と静的の2種類があり、運動前は動的ストレッチ、運動後は静的ストレッチがよいと大学で教わりました。これによれば体育の前には動的ストレッチを行うべきと考えられますが、実際の授業では「1.2.34…」と腕やアキレス腱を伸ばす静的ストレッチがおこなわれ続けているようです。これについてどうお考えですか? 非常に良い質問だと思った。大学で学んだ「理論」と現場で広がる「実践」の間の乖離を指摘しており、それを

体育にある『楽しい』を分類する

昨今、子供の運動習慣がある・なしの二極化が進み、その分岐点がより低年齢化しているといわれている。この課題に対応するため、スポーツや運動の楽しさを味わわせるための『楽しい体育』を求める声が高まっている。しかし、そもそも『楽しい』とは主観的な感情であり、同じ対象に対しても楽しいと感じる人とそうでない人がいる。 では、体育の中にはどんな『楽しい』の種類があるのか?そして、子供たちに伝えるべき(教師が用意すべき)『楽しい』とはどんなものなのか? 本稿は、これについてキューブ型の分類

体育の『クオリティー』はどのように決まるのか?

教員養成、校内研修、自己研鑽など、教員である人(あるいはそれを目指す人)は日々学び続けている。その理由を聞けば、「よりよい授業をするため」と一同に口をそろえる。この理由はごもっともなのだが、そもそも「よりよい授業」とは何なのだろうか?理由を言い換えれば、授業の『クオリティー』を上げるためとなるが、授業のクオリティーとはどのように定義され、どのように評価されるものなのか? おそらくこれに対しては、各々が主観的な回答を持っているだろう。多くの場合、個人が描く「理想」に近づくほど