地方自治体の行っている中国向けプロモーションについて感じたこと
大家好!
中国でスタートアップ企業を経営しているイマチュウのばやし(@muraba1)と申します。
日々中国のトレンドやスタートアップ界隈の情報を追いかけながら、上海を拠点に面白い情報を発信していきます!
今回のテーマは
地方自治体の中国プロモーションについて
私が住んでいる福岡県糸島市のKOLプロモーション動画を見たので、それについてと、お隣福岡市の中国向けSNSアカウント運用人材募集についての所感。
住んでいる自治体の中国プロモーションに対する所感
糸島市は福岡県西部に位置する自然豊かな町で、最近では都市部から多くの移住者がいたり、九州大学の伊都キャンパスを中心とした学園都市としての機能が形成されたりと福岡でも人気のエリア
観光スポットも多く、海、山、川、多くの魅力的な場所があり個人的には大好きな町です。
日本国内の旅行客で人気エリアとなっている一方で、
中国旅行客に向けたプロモーションでいうと別の感じ方をしています。
KOLによる糸島市ライブプロモーション動画をみて
糸島市に在日KOLで多分一番フォロワー多いと思われる林萍さん(林萍在日本)が来ている!
と発見した時は驚きと同時に糸島が有名になるチャンスだと期待に胸躍りました
牡蠣小屋(富士丸)やカフェ(カレント)を周って配信しており、配信の内容はさすが在日KOLとして絶大な人気を誇る林萍さんらしく分かりやすく、視聴者とのコミュニケーションも取っていて、見ている人が行きたくなるように映っている印象を受けました。
ライブ動画↓
https://www.yizhibo.com/l/1AXGBl64gtnnyNdo.html
https://yizhibo.com/l/1AXGBl64gtnnyNdo.html
※機材トラブルでまさかの牡蠣小屋で牡蠣を食べるシーンが撮れていないのは痛い。というかダメだと思ったw
しかし、このライブ配信を見て糸島に行ってみたいと思った中国の人に対して、次のアクションへの導線を示せていないとも感じました。
KOLを使ったプロモーションのメリット・デメリット
KOLを使った集客は可能性あると思うし、動画は楽しみ方が伝わるので良いと思います。
地方自治体が海外に向けて展開するプロモーションとしてKOLプロモーションを選ぶことが多いのは即効性があるというのが大きく、人気KOLだと視聴者の数やインプレッションが〇〇円かければ〇〇くらいと予測できるのも依頼しやすさに繋がっていると思う。
メリット・デメリットは大きく以下のような感じ
【メリット】
・日本の代理店・MCNが管理しやすい
・実績があるので安心感がある
・予算が比較的安い(中国からKOL呼ぶときに比べて)
・日本に関心高い人にリーチできる
【デメリット】
・中国KOLに比べると規模感が小さい
・日本ファンに向けた限定的なプロモーションになる
・プロモーションと分かりやすい
等でしょうか
自治体の行うKOLプロモーションを見ていて一番気になるのが、ライブ配信後の集客導線と継続的なウェブプロモーション施策が見えないこと。
ライブ配信を120万人の人に見てもらえました!
ということで、良かった良かった。となるのでは継続的な旅行客の獲得に繋がらないのです。
これは本当に中国人旅行客を集客したいと思っているなら、かなり大きな問題だと思います。
・中国SNSやってない
・観光ツアー参加しにくい
・バス少ない
・車でしか行けない
という糸島エリアは正直都市部よりもしっかりとマーケティングしていかないと継続的な集客は難しいと思う。
福岡全体で言うとLCCが飛んでいない、知名度が東京、大阪、京都、北海道、沖縄よりも下(※微博トレンドで調査)になっているので福岡はSNSやウェブ戦略で
「福岡に行ってみたい!」
と強く思わせる動機付けが必要です。
地方自治体の集客導線設計
地方に中国の旅行客を集客するためには、自治体・各店舗、施設・公式アカウント・SNS・中国側での担当等を意識してファン作りを進めていく必要があります。
大きく分けると以下の6つを意識して展開していくことが重要です。
1.情報発信がKOL頼りにならないこと
2.自治体の公式アカウント運営がちゃんとしていること
3.メディアミックスの手法で展開していること
4.受入施設での対応がちゃんとできること
5.口コミが広がる仕組み作りをしていること
6.プロモーション予算組んでいること
1.情報発信がKOL頼りにならないこと
KOLによるプロモーションはあくまでも即効性の高い広告なので、瞬間的に知名度をあげたり、ファンを増やすことは可能ですが、長期的な戦略と合わせて行うことが重要です。
例えば今回のライブ配信を見て糸島市の微博公式アカウントと連動していたり、糸島のファンを増やすような導線設計があれば良かったですが多分糸島市の中国向け公式SNSは見当たりませんでした。
2.自治体の公式アカウント運営がちゃんとしていること
糸島市は人口10万人の市なので、中国専門のマーケ担当者は手配できないという事情もあると思います。
ただ中国人向け集客を行うのであれば自治体のSNS公式アカウントの運用は必須だと思います。
3.メディアミックスの手法で展開していること
中国では一般的ですが、プロモーションを行う時にプラットフォームを限定するよりも複数運用する方が効果が上げやすいです。
微博、微信という2大プラットフォームはもちろん、抖音,快手,马蜂窝,知乎,简书,头条,等複数のプラットフォームを運営し相互のユーザーをフォローして増やしていくのです。
某企業の中国向けSNS展開
4.受入施設での対応がちゃんとできること
地方の場合はこれがかなり大事で、接客来てもらったお客さんに対して正しい対応ができない場合が多いです。
この課題は店舗、施設へのインバウンド対応講座や、支援等が効果的です。
5.口コミが広がる仕組み作りをしていること
SNSでの口コミ効果を狙うのであれば、口コミ・シェアしたくなるような施策を取る必要があります。
糸島はインスタ映えするスポットや、SNS拡散割引等、日本のSNS拡散施策は上手に行っている所が多いのでそれの中国版を実施すればいいでしょう。
6.プロモーション予算組んでいること
プロモーションを一過性のものにしないために予算を決めて運用する必要があります。
広告費と運用費に分けて予算組みを行い、専属のマーケ担当者を付けて展開するのが理想です。
まとめ
今回は地方自治体の中国プロモーションの課題についてお伝え致しました。
ちょっとネガティブな話になってしまったので、地方でもコンテンツの魅力とプロモーション手法とスタッフの熱意によって人気スポットになるという例もあります。
三重県の熊野古道等はその好例
官民共同の観光プロモーション団体の一人の外国人部長がここまでやりきることができるとは!と正直驚きます。
熊野古道も昔から人気エリアというわけではなく、コンテンツとしては完全に埋もれていて、トレッキング好きだけが知っている国内観光客も行かないような地域だった。
ガイドブックないから300ページのガイドブックを自作するとか、対応できそうな旅行会社がないから自分で作るとか、とにかく実行力が凄いです。
2018年に九州各県の中国SNS(微博)の影響力を調べたことがありましたので参照ください
糸島市は海、山、野菜、食材、工房、体験 等、多くの可能性があるとも思いますし、他の自治体も同じく多くの魅力的なコンテンツはあると思いますのでそれらを活用してプロモーション展開を行っていくのが良いと思います。
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