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terrestrial

 terrestrial(テレストリアル)とは、辞書で調べると、一つは地球の、陸地の、二つ目はこの世の、三つ目は陸生の、水生、空生の生物、そして地球に住むものを意味している。しかし、社会学者のブルーノ・ラトゥールは、テレストリアルを次のように解説する。テレストリアルとは地上性を持つということ、「対象」とうまくやること、調和することが課題ではない、対象に「どのように依存するか」を学ぶことが重要だと説いている。
 私たち生物は、地球大気に含まれる酸素を使って呼吸することで生命活動のためのエネルギーを得ているが、太古の地球は今のような大気ではなく、二酸化炭素の割合が高かった。
しかし、太陽から程よい距離にあった地球では、水が液体のまま存在することができ、大気中の水蒸気が液体となり海が生まれ、その水は大気中の二酸化炭素を溶け込ませた。そしてラン藻類などの植物プランクトンの出現により酸素が生成され、長い年月をかけ生物が生存できる大気となった。ところが、人間の活動により、その大気成分の割合が変わりつつある。

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 地球温暖化が進んでいることについては書籍等で知ってはいたが、当初はまだ身近な問題として捉えていなかった。しかし、2013年に撮影で八丈島へ渡った時に、撮影場所の案内をお願いしたタクシードライバーから、今まで採れていたテングサが温暖化の影響で採れなくなったと聞いた時、身近に起きている現実の温暖化の問題に対しショックを感じた。
それから10年も経たないうちに、今まで経験したことのない気象現象を体感したり見ることが多くなった。

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上の写真は、つい数日前に撮影した静岡市内の安倍川、その先には駿河湾が見えている。よく見てみると川に水がないことがわかる。
水不足により瀬切れが起きているのだ。これは雨が少ないことと、大谷崩れからの土砂流入が関係しているようだ。
このような状況が続けば、里山からのフルボ酸鉄など植物プランクトンの栄養源が失われることになり、減少することも懸念される。植物プランクトンが減少し海洋生物ポンプ機能が働かなくなれば、二酸化炭素を海底や海中固定できず、大気中の二酸化炭素量は現在の3倍になることは前回書いたが、それにより、このまま気温上昇が進み、2100年頃に海水温度が平均6℃上昇すると植物プランクトンの光合成プロセスが崩壊するという警告がある。
そうなれば生存に必要な酸素にも影響が出てくるであろう。
人はこの地球に依存して生きていることを再認識しなければならない時期に来ている。


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