すずめの戸締り
「すずめの戸締まり」を見た。新海誠監督の新作アニメだ。
ストーリー
災害列島日本とも呼ばれる日本。何年かおきに地震などの災害が起こる。日本列島の地下にミミズがいて、きちんと閉じ込めていないと、災いが起こる。要石でしっかりと押さえておかないといけない。でも時間が経てば緩みが出るのか、ミミズの出口を時折きちんと閉じてまわる必要がある。阪神淡路大震災も、東日本大地震も、緩くなった所からミミズが暴れ出して起こった災害のようだ。
ある日、他の人間には見えない煙を追って廃墟の街にやって来た鈴芽(すずめ)はよくわからないまま要石を抜いてしまう。そして「閉じ師」の家系に生まれ、「戸締まり」を行なっている草太に事の重大さを知らされる。要石はダイジンという猫の姿となりミミズが出現する場所に鈴芽を誘う。草太はダイジンに鈴芽の子供時代の椅子にその身を閉じ込められながらも鈴芽と一緒にミミズの現れる場所に「戸締まり」に向かう…。
鹿男あをによし
この映画を見ながら、ずっと万城目学の「鹿男あをによし」を思い浮かべていた。地震の原因となっているナマズを京都、大阪、奈良の3点で抑えるために三角縁神獣鏡を使って「鎮めの儀式」を行うとか、その鏡を受け渡しをする神の使いが京都は狐、大阪はネズミ、奈良は鹿というような話だった。
違うといえば、違うのだが、地震が起こる原因をナマズのような生き物に求め、それを抑えるために働く特別な人間がいるという構図は同じように思えた。
「君の名は。」と「天気の子」
「君の名は。」では映像とテンポの良い音楽のシンクロが心地よかったが、それを期待すると裏切られる。どちらかというと「天気の子」寄りなのだろう。気候変動や天変地異といった新海誠監督が取り上げるテーマとしては一貫しているようにも思うが、「鹿男あをによし」が大好きなためか、今回はどうしてもその世界観とオーバーラップしてしまったのが残念だ。相変わらずの美しい映像でありながらもリアリズムを追うような風もないのだが、地元神戸の風景と関西のおばちゃんの描き方はとても気に入った。
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