舞台 Odessa
WOWOWのオンデマンドで三谷幸喜作品「Odessa」を見た。宮澤エマ、迫田孝也、柿澤勇人の3人だけで演じられるシチュエーションドラマだ。テキサスの片田舎で殺人事件が起こり、日本人旅行者(迫田)が容疑者となる。だが、英語がわからないため日本人留学生が通訳(柿澤)を務めることとなる。取り調べるのは日系の警官(宮澤)。
舞台上の約束事としては、3人が同時に登場するときは英語(日本語サブタイトつき)と日本語。警官と通訳だけの時、通訳と容疑者だけの時は日本語となって、切り替えがややこしい。映画でも良くあるパターンなので、慣れてくると違和感は無くなってはくる。
容疑者が突如「自分が犯人だ」と言い出した時に、留学生はそれを信じられず、なんとか取り繕うとする。テキサスの片田舎で唯ひとり日本語と英語が理解できる人間であるがために、他人の一生を、ひいては生死を左右する場面に立ち会い、ことの大きさに右往左往する。その右往左往するさまを如何に面白おかしく描くか、これがまさに三谷幸喜の腕の見せ所であろう。もちろん、それだけに終わらないのも三谷作品である。
アメリカを舞台とし、英語と日本語のセリフを織り交ぜた実験的な作品でもある。日本語サブタイトルが舞台中央の上部に現れるタイミングなど、技術的にも難しかっただろう。以前「愛と悲しみのシャーロックホームズ」でも推理の場面で、舞台上部にその内容を映写していたが、こちらの作品の方がハードルは高そうだ。
作品を見終わってみると、三谷幸喜らしさ溢れる、新たな挑戦作、という評価だろうか。一昨年の三谷幸喜の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のキャストが顔を合わせているという点もちょっと面白い。