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サンチャゴ巡礼準備編 旅の情報2 体験談を聞く

出発を5日後に控えて、先週サンチャゴ巡礼から戻ったカトリックの修道士の方から直接話を聞いた。5月下旬から7月5日までサンチャゴ巡礼路フランス人の道を歩いて帰ってきたばかりで、役に立つアドバイスをたくさんいただいた。せっかくなので、記憶が新たなうちに整理しておこうと思う。

荷物について

「荷物の大きさは不安の大きさ」という面白い言葉を聞いた。「あれも必要、これもいるかも」という不安から荷物がどんどん増えていくということだ。彼の荷物は小ぶりの30Lのバックパックを合わせても4.5キロ程度。水や食料を入れても5キロを超えるくらいだろう。「とにかく荷物は軽く」ということを繰り返し言っていた。

持ち物について

持ち物では身につけているもの以外に予備は1つずつ。つまり下着もトレッキング用の服上下も予備は1枚。毎日洗濯すれば問題無いという。雨で乾かない時には洗濯のみ自分でして後は乾燥機が使える。ただし、靴下は例外で予備は2足(5指に分かれているもの)。昼食休憩の時に靴下を脱いで、足と靴下を乾燥させ、靴下の湿気が取れない時は、替えの靴下に替えて歩くとマメもできなかったそう。参考になる話だ。

彼が持っていくべきもので挙げたのはトレッキングポール、ワセリン、安全ピン。トレッキングポールは特に下り道では役に立つ。ワセリンは足のケア用に、安全ピンは洗濯物を干したり、乾いていない靴下などをバックパックに留めて歩きながら乾かす。膝のサポーターを両足にずっと着用していたと言う。私はサポートタイツを持参するが、暑いのが難点、サポーターの方は嵩張るのが難点で一長一短だ。

服装について

日に焼けた脚を見せて「長ズボンと半ズボンを交互に履いていて、こんなに焼けました。」上着は常に長袖だったらしい。私の場合は日焼けに弱く、すぐにかぶれてしまうため、長袖、長ズボンで行こうと思っている。最近の日差しですでに腕は日焼けしていて、かぶれも出てきている。今週は皮膚科に行って、薬を処方してもらおうと思っている。「つばの長い帽子が良いですよ」と日差しの強さについては警戒が必要ということだ。

旅のお金

彼はWISEカードを作っておいて、外貨(ユーロ)口座から引き落とし。私はSONY銀行で外貨(ユーロ)口座を用意しているので、同じ要領だ。クレジットカードは受け付けていないところもあるため、100ユーロくらいは現金で用意しておいた方が良いが、高額紙幣(50ユーロ等)は避けるべきとのこと。アルベルゲでも盗難の話を聞いたとかで、クレジットカードはジッパー付きのズボンのポケットに入れ、パスポートと現金は服の下に薄手のポーチに入れ肌身離さずに持ち歩いていたと言っていた。

1日の行動

彼の場合、日の出前の6時〜6時半にはスタートし、暑くなる日中を出来るだけ避けて歩いたという。出発に際しては、早朝は部屋の点灯ができず暗くて準備ができないので、寝袋の中に何もかもまとめて廊下や別の部屋に持ち出し、明るいところで準備すると良いとのこと。「なるほど」という話だ。

朝食付きのアルベルゲ以外では、歩き出した後に途中のバールで食べたり、前日の食料の残りを食べたりで済ませる。お昼は時間をかけてしっかりとした食事を心掛けたと言う。野菜不足になりがちなのでサラダを頼むようにしたそうだ。その間、靴下を脱いでゆっくりと足を休ませるとリフレッシュできる。そしてまた歩きだす。参考にしよう。

午後、アルベルゲに到着後はまずはシャワーと洗濯。その後はあまり観光には出かけずにゆっくりと過ごしたと言う。もちろん聖堂などを訪れることはあるが、自分は観光ではなく、巡礼=「歩く」ということを大切にしたかったのだと言う。他の巡礼者との交流も大切だし、歩きながらの話もしたが、「ひとりで歩いて自分との対話を大事にしたかった」し、「荷物を背負って歩く」ことが自分の巡礼のこだわりだったので荷物運送サービスは使わなかったと言っていた。修道士としての巡礼に対する姿勢を感じた話だった。

夕食はレストラン以外ではスーパーなどで買ったものを温めて安く済ませたこともあったとのこと。果物が安くて美味しいらしい。ビタミン補給にいいなと思う。

水の話

水は持ち歩くと重いので、250mlのボトルにしたというが、私の場合は真夏の時期だしで汗かきなので500mlは必要になるだろう。巡礼路沿いにはバールがそこここにある。飲み物やペットボトルの水も売っているし、飲み水の補給ができるところもあるそうなので心配は要らないとのこと。ただし、ピレネー越えとメセタの17キロほどはバールもないところがあるので、その点だけは注意し、事前に補給しておくように言われた。

シエスタと日曜日

小さな村や町などでは午後2時〜5時まではお店が閉まるので、その間は買い物ができない。必要があれば、その前に道中ででも買い物を済ませておく。また、同じく日曜日には閉店しているお店が多く、前日までに必要なものは準備する必要がある。大きな町では開いているお店は探せばあるとのこと。日本では考えられないことなので、注意が必要だなと思う。

ピレネー越えの過酷さと歩き続けること

私が一番聞きたかったことの1つが、「難所と言われるピレネー越えや2、3の峠越えの負荷がどれくらいのものなのか」であった。近所の六甲山系でこの1年間トレーニングをしてきたが、それで大丈夫かということを実際に歩いた人に是非とも聞きたかった。

彼も六甲山系を事前に歩いたと聞いていたのだが、「菊水山はもう二度と登りたくありません」と言う。六甲山縦走路の山を登る人ならば、ピレネー越えも心配する必要はない、とのことだった。「(菊水山のような)急な登りはなく、距離は長いが登りはなだらかなのでそこまでキツくない」いう話にとても安心した。

また、彼は一日も休まず毎日歩き続けたようだ。「だんだんと歩くのに慣れるんですよ。他の人を見ていてもそれがわかります。」とのことだ。彼の場合は足の裏に痛みが続いたけれど、ケアをしながら歩き続け、大きな怪我もなく最後まで歩き通した。ただ、彼はまだ若く体力もあるが、私は還暦も過ぎ体力もあるわけでもない。歩かない休養日を設けて無理をせずに行こうと思う。「体調が悪くなった人は同じ所に2、3泊して休養し、回復したらバスで移動して巡礼を再開していた」とのことで、私も不調の場合はそうしようと思う。

自分のペースで歩く

彼が「荷物を軽く」以上に強調していたことは「自分のペースで歩く」ということだ。初めの頃はなかなかこれができない。他の人が歩き出すのを見て「それでは自分も」というふうに皆がゾロゾロと歩き出すのだそうだ。

自分の体力や体調に応じて無理をせずに歩くことが大切で、巡礼スタート地点のあたりで快調に飛ばしていた人が、途中で歩けなくなったりした姿も目にしたと聞いた。慣れてくると自分の体と相談しながら自分のペースで歩けるようになったという。宿の予約をとっているなら、尚更先を急ぐ必要もなく、自分のペースを心がけると良いというアドバイスだった。巡礼のスタートでは特に「自分のペースで歩く」ことを心がけようと思う。

体験談を聞いて

ネットや本で情報を集めてきたが、巡礼をした人に直に話を聞くのは初めてのこと。一番聞きたかったピレネー越えのことも直接聞くことができて不安が和らぎ、大いに励みとなった。また、荷物が自分よりも2キロ以上も少なく済ませていることも多いに参考になり、「荷物の大きさは不安の大きさ」との言葉を思い起こしながら最後のパッキングを行おうと思う。

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