恋愛の法則

簡単に相手に好意を言葉で伝えてはいけない。

これは私の中に生まれた法則である。

昔から恋愛における駆け引きが嫌いだった。　

好きな相手への好きという気持ちが明確であるほど、言葉にせず心にしまっておくことが難しい。また、駆け引きという謎のゲームに好きな人を巻き込みたくないという気持ちも強くあった。

しかし、人間は手に入りそうで入らないものに魅力を感じるようである。

大好きで大好きで言葉にしないといられなくて、はっきりと伝えてきた人にはふられ。
自分が無意識に思わせぶりな行動をした人に好かれる。

思いがけないことであった。

駆け引きは不誠実なことだと思っていた私に、そうではないという厳しい現実がつきつけられるのだ。

周りの経験もふまえた法則であるが、私が恋愛下手であることも否めない。そういう意味で正確性は欠けている。

それでも、人間は手に入れにくいものを魅力的に思うのは少しある気がする。

恋人や家庭のある人を好きになるのもそういう類なのではないか。

まっすぐな気持ちを目の前にしてもなお、スリルを求める人間はやはり欲深く野性本能のある生きものだ。