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【夫婦の日記】これからは良いことしかないよ。
夏に怪我をした。
痛みとショックでパニックになり、救急車で運ばれた。
幸運にもこれで済んだ、そう思わないといけない、
きっと時間が解決してくれる、
そう言い聞かせた。
けれど。
自分の一部を失ってしまったと思ったら、
もう昨日までの自分はいないと思ったら、
これは何かの罰なのではないかと自分のこれまでの行いを疑った。
その日は夜中に痛みで起きて、夢じゃなかったことに泣いた。
夫は言った。
これからは良いことしかないよ、と。
秋になって、怪我はかなり、本当にかなり良くなった。
人が見てもわからないほどに。
身体に少し気を遣いつつ、殆ど普通に生活できる。
けれど、本当はまだ違和感がある。
時々、ふとした瞬間に傷の奥が痛む。
前の自分ではないと気づく。
それで、1日のうち何回か落ち込む。
きっと誰も気づいていない。
忘れようとして、何かに集中してみようと試してみる。
好きなことを調べたり。
勉強してみたり。
今までよりも積極的に、前向きに。
やりたいことや欲しいものをリストアップして、
大丈夫、私は元気、そう思えるように。
頑張ってみた。
けれど、帰宅してどうしても落ち込んでしまう日があった。
ソファに沈んで、今日は全然ダメだ、と夫に打ち明けた。
変わらないことを気にしても仕方ない。
頭ではわかっているけれど、そう簡単にはできない。
じゃあ踊ろう。
夫はそう言って、YouTubeに繋いだテレビで、Bruno MarsのMVをチョイスした。
リズムに乗ってダンスを真似しだす。
夫の方が帰りは遅い。
私よりも疲れているだろうに。
立ち上がって夫を抱きしめる。
そうすると私もリズムに乗って踊っていることになる。
テレビの画面いっぱいに揺れる褐色の肌のお尻(MV)、笑。
タモリ倶楽部ではない、Bruno Marsである、笑。
絶妙なセンスに笑わずにはいられない。
ユーモアとはこういうことを言うと思う。
それは本当に魅力的で、
なぜかというと、私には思いつかなかったからというのとは全然違っていて、
思いもよらない私の中の引き出しを開けてくるからなのかもと度々思う。
受け入れるにはまだ時間がかかるかもしれない。
でも、段々良くなっている、そう思いたい。
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