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やっぱり至高、会席料理。

私たち夫婦は毎年必ず、お互いの誕生日あたりの週末に「お誕生日旅行」と称してどこかへ出かける。
ただ、妊娠中の身としては、何かあったときにすぐに戻れないようでは困るので、今回は近場の料理宿である奈良の「飛鳥荘」さんに泊まることに。


秋に出産予定なので、こうやってゆっくり最高の会席料理を味わえるのも、もうしばらくないのかもしれない…なんて思うと、より真剣に料理に向き合おうじゃないか…という気持ちになってきた。

ということで、いつかまた自分が読み返して美味しさの余韻に浸るためだけの会席食レポ、始まり始まり。

席に着くと、うやうやしくお料理のおしながきが机上に置かれる。会席料理はもうここから始まっている、とい言っても過言ではない。

ざっと先付からデザートの水物まで目を通す。
軽くイメージしながら眺めるだけでもう、気持ちが高まってくる…!

けれど、一品一品これは何だろう、これは…と詳しくみてみると、フランス料理の聞きなれない言葉でもないのに、それが一体どんな食材を指すのかわからない漢字も結構多い。

早速、先付の「水雲」「陸蓮根」ってなに…?

~先付~
水茄子 鮑 新生姜 水雲 叩き陸蓮根 針茗荷 美味出汁


瑞々しくて甘い茄子に、爽やかな生姜とこれでもかというくらい刻んだオクラ。冷たい出汁の下には、ひたひたになったももずくと鮑。
口内が、な、夏ー!!

暑い日でもさっぱりいただけちゃう、一品。器もひんやりと美しい銀色で涼し気。
あとねえ、器の前に置かれた透けてる葉っぱ、ナニコレ可愛い…。

ちなみに「水雲」は、もずくだった。
そして「陸蓮根」は蓮根の一種かと思ったらオクラだった。わかるかーい!

飲み物がきた。
美味しい会席料理には、日本酒を合わせたいところだけれどわたしは、妊婦なのでウーロン茶で我慢。
事前に夫に、
「晩御飯のとき、飲みたいでしょ?わたしに構わず、いいよいいよ。」
と言ってたわたしは心が広い。

続いて、八寸。
突然だけど、わたしはメインに劣らないくらい八寸が好きだ。
お皿にきゅっと色とりどりに盛られた、小さなお料理たちはこれから始まる会席に対する期待を押し上げてくれる。

桐箱に入って到着した八寸。隠すことで、一層わくわく度を高めるという魂胆に違いない…。

ぱかーん。

~八寸~
順才 蛸 加減酢
鯛笹巻寿司 伏見甘長 
酢取りトマト アボカド春巻き
新小芋田楽 袱紗胡瓜
合鴨ロースト 粒マスタード

わあ、可愛い。
凝ったお料理を一口ずついただく幸せ。今もう既に結構な字数をいっているので、さすがに8つ全て語ると恐ろしい字数になること間違いなしなので、控えておく。

どれももちろん美味しかったけれど、湯剥きされて甘いお酢に漬けこまれたミニトマトが特に良かった。

お酢と馴染んでこれでもかというくらい柔らかくて甘酸っぱいミニトマト。こんな一品が夏の冷蔵庫に常備菜としてあったら最高なのに。 

でもまあ我が家でこんなに丁寧に手を加えられることないだろう、ミニトマト…。

~煮物椀~
清汁仕立て
玉蜀黍と海老の真丈 蓮芋 柚子

真丈っていいよね…。
絶対家では作れないもの…。

ほわっとやさしくほどける真丈と滋味深い出汁の味の組み合わせが織りなすハーモニーにずっと浸っていたい。

底に沈んだ僅かな柚子が、爽やかに後味を引き締める。
蓮芋も初めて食べた。見た目セロリっぽかったけど、しゃきししゃき面白い歯ごたえでほわっとした真丈との食感の対比が面白い。

艶やかな塗りのお茶碗も見ていて、うっとりしちゃう。

ちなみにわたしも夫も「玉蜀黍」読めなかった。とうもろこしだって。

分かるかーい!(2回目)

~造里~
縞鯵 本鮪
土佐醤油

お刺身…!
ここしばらく食べられていなかったお刺身…!
生ものは妊娠中、食中毒のリスクが高まることにより控えた方が良いとされてはいるけれど、量が多いわけでもないし、料理宿だからいい食材を使っているだろうし…ということで今日だけ解禁…!!

…っっっ最高でした。
シマアジの締まる身の弾力と旨味たるや。本マグロの濃さたるや。
ガラスの器のセット、金で縁取られることによって特別感が出て素敵。


としかし、ここで問題が。
お刺身といえば、日本酒。夫の「春鹿」のお猪口を奪い取り、すんすんすんすんと香りを嗅ぐ。わたしお酒は強くないけれど、日本酒の香り、もう大好きで。

わたしにとってお酒とは、クリームソーダの上のさくらんぼのようなものだっと思っていた。
即ち、料理の彩りの一つであり、添えられていたらうれしいけれど、なくても遜色ないもの。
しかし、その認識はここにて覆される。

あああ~お刺身の旨味の後味残るこの続きで、この香り立つ尊い液体をくぴり、といきたい。の、飲みたすぎる。

しかし、妊婦にアルコールは厳禁。
誘惑に負けなかったわたしをどうかほめたたえて欲しい。

「春鹿」の香りを嗅ぎながら、お刺身を咀嚼するわたしを憐れんでか、夫が追加で頼んでくれたノンアルコールの梅酒。
まるで完熟した梅そのもののような口あたりと濃厚な甘さが美味しかったけれど、日本酒の代わりにはならないんだなあ…。

八木酒造
「ノンアルコール とろとろ梅酒」
~焼肴~
鱸 大葉オイル 新蓮根梅和え

魚の漢字が読めなかったけれど、夫にどや顔で「スズキやで。」と教えられる。ちょっと難しい魚の漢字も読めるようになりたいなあ、ノート(紙の方)にでもまとめてみようかと、ふと思った。

あっさりしたスズキに、濃厚な大葉オイルがよく合う。和食でありながら、ちょっとフレンチっぽいな、なんて思いながら口に運ぶ。

この大葉オイル、少し添えるだけで料理の奥ゆきが出そうななかなかクセになる味。もし瓶で売ってたら買いたいなあ。
(言うまでもなく手間がかかってそうなので、作りたいとは言わない)

~酢肴~
白芋茎 蝦蛄 スナップエンドウ 二色パプリカ 胡麻酢

蝦蛄(しゃこ)って、食べる機会ないよね。柔らかい独特の歯応え。美味しかったけど、生涯、海老か蝦蛄かのどちらか食べれませんと言われたら、選ぶのは断然海老。

キャビアもだけど、珍しい食材って必ずしもすごく美味しいわけではないよねえ。

ちなみにこのお料理を食べているとき、お腹の中のまめちゃんがめちゃくちゃ動いた。

え、何あなたまさか蝦蛄好きなの?
滅多に食べさせてあげることができない食材だからね…?

~小鍋~
黒毛和牛しゃぶ 水菜 白葱 豆腐 
ブラウンえのき 生胡椒

和牛。言わずもがな美味。
柔らかくほどけて、お肉の旨味と甘みが溢れ出してうっとりする。
美味しいお肉って、甘く感じるのなんでだろう。

あと、味の変化を楽しめるように添えられていた生胡椒のぷちっと舌の上で弾けるぴりりとした風味がなんだか新鮮で面白かった。

~食事・香の物・留椀~

毎回、会席料理のたびに強く思う。
白米はお肉と同じタイミングで出してくれえ、と。
ちびちび食べて残しておいた、先ほどの和牛と共に味わう。
〆感があるよね、赤出汁って。

~水物~
西瓜 マンゴーゼリー
ココナッツソース タピオカ

ココナッツのまったりとした甘さとスイカのさっぱりした甘さ。
異なる種類の甘さの組み合わせがうれしい。

と、まあ通常ならばこれにてお仕舞い…なんだけど、次にやってきたのは
バースデーケーキ!
そう、今回はわたしのお誕生日お祝いを兼ねていたので。

丸いバースデーケーキ、何歳になってうれしいねえ。ちゃんとろうそくをさして、ふうって消すアレ、やりました。なんだか、童心に帰るね。

最近、お腹が少し圧迫されるようになってきて、以前食べていた量が入らなくなっており、折角の会席料理だけど最後まで完走できるかな?という心配があった。

しかしそれも杞憂に終わり、ケーキの最後の一口まで美味しくいただけましたとさ。
グッジョブ、わたしの胃。

よりまん丸くなったお腹をさすりながら、しみじみ、日本の会席料理って素晴らしいなと噛み締める。

食材、味付け、食器。様々な角度から、季節をふんだんに盛り込んで魅せてくる。
真っ白いお皿に色鮮やかなソースが散りばめられたコース料理もはっとする美しさけれど、四季の移ろいをしみじみと愛でたくなるのは、やっぱり会席料理だ。

またいつの日にか、こんな心動く季節を味わえるお料理に出会えることを楽しみにしていよう。


#和食 #食レポ #会席料理




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