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百年の命〜前編〜
銭亀は大きな川で、親や兄弟達と仲良く暮らしていました。
銭亀の一番の友達はカモメ
でもいつも喧嘩ばかりしています。
喧嘩の原因は、銭亀が大の人間好きということ。
人間が大勢いる場所ばかり好んで遊ぼうとするものだから、カモメはいつもイライラムカムカ。
そして銭亀に怒鳴るのです。
『このバカ亀!あまり人間に近づき過ぎると、今に人間の垂らした釣り針に引っかかって食われちまうぞ!』
しかし、人間好きな銭亀にとって、そんなことは余計なお世話です。
それでも少しだけ首を縮めて言いました。
『そ、そんなことにはなりませんよぉだ!
だって、人間は良い奴だもん。
亀を…食べたりはしないさ。』
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ますます腹を立てて怒鳴ります。
『お前は本物のバカだ!人間は亀なんか玩具くらいにしか考えてないんだぞ!そんな風に懐いてると、今に殺されるぞ!』
そしてカモメは飛び去ります。
いつもいつも、その繰り返しです。
季節は春。
桜も散って、陽射しも強くなりかけた頃。
銭亀は、カモメの心配していた通りになりました。
人間の男の子の垂らした釣り針に引っかかって、吊り上げられてしまったのです。
男の子はコンビニの袋に銭亀を入れて、家に連れて帰るつもりだったのでしょうか。
銭亀はひっしにもがいて、自分の力でコンビニの袋に穴を開け、そこから逃げ出しました。
銭亀が逃げ出した場所は、銭亀の全く知らない場所でした。
道は固いアスファルトで、車がたくさん行き交っていて、とても危ない場所でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1681098409143-y1d82vTVdi.jpg?width=800)
危うく車にはねられそうになりました。
でも、その寸前のところで、走ってきた女の子に助けられ、車のない場所へ逃れました。
![](https://assets.st-note.com/img/1681098576008-OmzDSBTls5.jpg?width=800)
『もん太』と名付け自分の服の大きなポケットの中に
もん太を入れて、家に帰りました。
女の子はよく見ると8歳くらいで、学校帰りだったのか、背中に赤いランドセルを背負っていました。
女の子が家の扉を開けると、女の子のお母さんが出迎えました。
『おかえりなさい』
女の子は出迎えたお母さんに
『亀を飼いたい』
と言いました。
そして大きなポケットから亀を取り出して見せました。
『名前も決めてあるの。
もん太っていうのよ!』
![](https://assets.st-note.com/img/1681098956757-KjhbaATF2K.jpg?width=800)
お母さんは
『お前がちゃんと面倒をみるならいいわよ』
と言って、亀を飼うことを許してくれました。
ザリガニでも飼ったことがあるのか、もともと女の子の部屋に置かれていた水槽の中に、もん太は入れられました。
そうして、もん太と女の子の生活が始まったのです。
もん太は大きな川に住んでいたこともあって、小さな水槽の中が窮屈で、よく逃げだそうとしました。
でもその度に、女の子が悲しそうな顔をするので、そのうちにもん太は、小さな水槽に慣れようと努力するようになりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1681099427238-RzgHzsRtGZ.jpg?width=800)
でも女の子はもん太のことを
とても大切にしてくれました。
学校での色々な面白い話もしてくれるし
もん太の気持ちを分かろうと努力もしてくれました。
そしてそんな女の子のことを
もん太は大好きになりました。
そうして三年の時が流れて
8歳だった女の子も11歳になりました。
小さかったもん太も、かなり大きくなりました。
〜『百年の命』前編終了〜
社会不安障害の姉との約束を守るために
今をどう生きるかを共に考えていくために
20年前の約束を果たそうと再生した
姉の作品『百年の命』
前編、中編、後編に分けて投稿したいと思います
移りゆく時代の変化や社会に適応できなくても
まるで少女のような感性のままで
今在る幸せを保っている姉の世界に
少しでも共感して頂けたら
どうか温かいコメンを宜しくお願いします🙏
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