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令和2年司法試験・民法・設問3関連基礎知識

令和2年司法試験・民法・設問3関連基礎知識
【日常家事に関する法律行為と代理権】
1、761条
 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
語呂→夫並び(761)に妻は連帯責任
2、110条
(権限外の行為の表見代理)
110条=前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
語呂→110番は権限外の通報でも本当の通報に見える。
3、761条と110条の趣旨類推
【判例】
→西大久保の女房の土地建物を夫が無断で売却した事案。婚姻関係にあったことから、716条が登場した。女房は1審、2審、3審も勝ったことになる。西大久保の夫裏切り事件?
→110条の趣旨類推は、相手方が夫婦間の日常家事の法律行為に入ると信じるにつき正当な理由(善意かつ無過失)があること。
【裁判年月日】 昭和44年12月18日
【事件番号】 昭和43年(オ)第971号
【事件名】 土地建物所有権移転登記抹消登記手続請求上告事件
★簡単に要約すると、東京都西大久保の夫婦のうち、夫が商売をしていたが、
借金を抱えて倒産、妻所有の土地・建物を債権者に売却した。
 この債権者は、761条による不動産の取得、または、110条の表見代理が成立するとして不動産の取得を主張。妻は、自己所有の不動産を売却されたことにつき知らなった。また、761条の日常家事の法律行為の範囲に入らないことを主張。1審、2審は妻勝訴。このため、債権者が上訴したが、その債権の代わりにその越権行為の相手方である第三者においてその行為がその夫婦の日常の家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、同条の趣旨を類推して第三者の保護をはかるべきであるとして棄却。
【761条と110条の趣旨類推のまとめ】
1、761条→夫婦相互の日常家事に関する法律行為の法定代理権を肯定する。
2、日常家事の範囲は、通常の代理権と異なり、個々の夫婦ごとに異なり、顕名不要で、夫婦相互の連帯債務となる。
3、日常家事の範囲は、個々の夫婦ごとに異なり、社会的地位、職業、資産、収入などによって個別判断
4、相手方の取引安全にも配慮して、夫婦の内部的事情だけではなく、客観的な事情をも考慮する。
5、日常家事の範囲に属しない法律行為の相手方の保護については、110条を直接適用することは、夫婦の別産性(762条1項参照)の趣旨に反することになるので、110条の趣旨を類推適用する。具体的には、相手方が、その取引行為が、夫婦相互の日常家事に関する法律行為の範囲内に属すると信じることにつき正当な理由(善意かつ無過失)があるときは、110条の趣旨を類推適用して相手方の保護を図る。
【無権代理と相続】
{判例}最判昭和40年6月16日=地位融合説
無権代理人後に本人が死亡して無権代理人が本人の地位を単独相続した場合、→本人自らが法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたと解する。
→無権代理人と本人の地位が融合し無権代理は有効となる。
私見=おかしな判決だよ。この判決を出した裁判官はほぼ、アホ。
理由は死亡した本人の意向が明確ではないのに、不法の代理行為をした現存者の利益を優先するのか。
{学説}=地位併存説
A=本人の地位を相続するので、本人の地位が併存する。→本人の地位で追認拒絶できる。
B=無権代理人が本人の資格で追認拒絶するのは、自己が進めていた無権代理行為と自己矛盾することになり、信義則に反して許されない。
注1=判例は、共同相続の事案では上記の地位融合説を採用していない。そりゃそうだわな。
【その他の条文】
★560条
売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う
語呂→売買の後、登記を備えさせるのは、五郎丸(560)のルーティンだ。
★889条1項2号関連条文
(子及びその代襲者等の相続権)
887条 
1項=被相続人の子は、相続人となる。
2項=被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3項=前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
語呂→子が相続しないと母がな(887)く
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
889条
1項=次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
2項=第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
語呂→相続は早く(889)しろ、親と兄弟
★890条
(配偶者の相続権)
 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
語呂→相続は配偶者の役割(890)
語呂→配偶者の相続は約令(890)
★938条
相続放棄(938条)
(相続の放棄の方式)
第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
語呂→縄文人ならいざしらず、草屋(938)だけなら、相続放棄

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