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平成30年司法試験・民法・設問1関連基礎知識

平成30年司法試験・民法・設問1関連基礎知識
【受領遅滞】
413条=債権総論の規定
1項=受領遅滞→債務者は自己の財産に対するのと同一の注意で足りる
2項=遅滞で費用が増加した場合→債権者の負担
語呂→受領遅滞でよいさ(413)
受領遅滞→受領遅滞または受領不能
413条の2
受領遅滞の帰責事由
1項=債務者が遅滞→双方の帰責できない事由→債務者の責任
2項=債権者が遅滞→双方の帰責できない事由→債権者の責任
語呂→413の帰責は二つ
567条=債権各論・売買の規定
1項=特定物の売買の場合、目的物の引渡し→双方の帰責できない事由→買主は代金の支払を拒むことができない。
2項=特定物の売買の場合、買主の受領遅滞→双方の帰責できない事由→買主は代金の支払を拒むことができない。
語呂→コロナで特定物を受領遅滞したら、買主の責任
参考→特定物の売買のときは、567条でいいのではないか。これに対し、有償、双務契約の全般のときは413条でいいのではないのか。
それとも、413条を提示した上で、特定物売買の567条を付加してもいいのではないか。
【危険負担】
536条
1項=当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒絶できる。
2項=債権者の責めに帰すべき事由で債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合、これにより債務者が利益を得たときは償還の必要
語呂→危険というゴミを無(536)にするな
参考→1項は適正な債務の履行で引き渡した後は債権者の責任。自分の手にあるのは自分が責任を負うのは当然。2項は労働法でよく使う。使用者の責めにより、労働者が止む無く働くことができなかった時は、使用者は賃金を支払うべきだよね。
【種類物債権、不特定債権、特定債権】
★種類物債権
①種類債権の意義→種類と数量
(a)種類債権は、物としての個性を持たず、債権の目的物を種類と数量のみを指定できる物(種類物)の給付を目的とする債権です(→種類物とは)。
(b)このように債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならないとされています(民法第401条第1項)。
(c)この前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とするとされています(同条第2項)。
例=牛10頭、ビール1ダース
★不特定物→種類と数量と品質
しかし、種類債権と不特定物債権はほぼ、同義。
例=飛騨牛10頭、キリンビール1ダースと言っても、具体的な特定物とは明らかに違う。
注意=不特定物債権は、特定する前には、履行不能にならない。キリンビール1ダースを売買する場合、市場に行けば入手できるので、調達義務を負い、債権者(買主)に引き渡す義務が生じる。
★特定の意義→不特定物債権の目的物が特定の物に定まることを特定という。
★特定の要件=401条2項
401条
1項=種類と数量だけの場合→品質は中等の物を引き渡す。
2項=(1)給付に必要な行為を完了(2)債権者の同意を得た場合
注意=(1)において、契約に不適合なブツを引渡しても、特定しないことに注意。なぜなら、給付に必要な行為を完了していないからである。
★債権の種類
(1)持参債務=目的物を債権者の住所地で引き渡す債務。
蕎麦屋が出前の蕎麦を注文主へ運ぶ債務。特定時は現実の提供
(2)取立債務=債権者が債務者の住所地に出向いて、ブツを取り立てる債務
分離、準備、通知で各段階を経ることになり、通知の段階で特定する。
【履行補助者】
(1)債務者の手足となって使われる人 (狭い意味での履行補助者)
(2)債務者に代わって、履行の全部を引き受ける人 (履行代行者)
(3)債務者が持っている債権・権利を共に利用する人 (利用補助者)
【履行補助者の過失】
履行補助者に「故意または過失」があった場合の処理は、本来の債務者の責任と同視できる。
例=甲がX商店の店主Xさんに「ビール1ケース」を注文。そして、Xさんは注文されたビールをアルバイトのYさんに対し、甲さん宅に配達するように伝え、ビール1ケースを配達した。この場合、YさんはXさんの「履行補助者」にあたる。そのYさんは、配達の際に甲さん宅の門を壊した。このような場合、履行補助者Yさんの過失は、Xさんの過失と実質的に同視できる。したがって、
Xさんは責任を免れない。
(平成30年司法試験・民法・設問1・解答に挑戦に続く)

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