早期退職の瞬間!


 教員を早期退職できると言う瞬間、頭を埋め尽くしたのは、「喧騒の日々から逃げられる!」で頭がいっぱいだった。お金なんて何とでもなる。この徹夜だらけで騒々しい世界が終わる、、、それだけだった。「3年まで休めるから、休んでから考えたら。」と言う夫の声も、もう耳には入らなかった。喜びは私の中で爆発し、歓喜に湧いた。

 今思うと、「後悔」までは行かないが、お金は何とかなる物ではなかった。そして、この「後悔」しない境地にすぐ陥ったわけでもなかった。いろんな考え方を読みあさり、無理に思おうとしていたようにも思う。
 7年間で10以上の職場を転々とする中で、初めて分かったこと。お金を稼ぐために人々は毎日頑張る。時給が良いより良い職場を求めて。土日返上もなんのその。時給に換算すれば「教員」ほど割の良い職場はない(自宅に持ち帰り仕事、残業代など頭にない奉仕の山だが)保証も万全だ。
 しかし、早期退職して、他の世界を見たからこそ、自分の視野が広がって、この社会を前よりは公正に観る力がついたことは確かだ。
 多くの児童の親御さんは、こう言う働き方をしているからこそ「運動会は日曜日にして」と臨むんだとさえ、初めて気づく。そうか、土曜日は大事な稼ぎ時なんだ。学校職員とすれば、土曜日に実施して、日曜日月曜日(振替休日)と行きたいもんだ。

 今、60歳になる元同業者(教員)達と、偶然再会し「あと少しで退職だあ。」と聞くと、薄っぺらく感じるのは、否めない。
もちろん、教員は、前文に書いたように過酷な仕事だけれど、他の世界を知らないのは事実。知ってしまった私が、「どうも自分のことしか考えていない。」と直感するのは、ひねた感覚なのだろうか。

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