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「差し出し方の教室」

 書店で見つけて、タイトルがとても気になった本。差し出すとは?

 ブックディレクターとして日々本を差し出している著者による、色々な分野で、人に何かを差し出している人、をインタビューした本。

 差し出す、と言われると、あまり日常のことではない気がしますが、このnoteで書いて公開することも、差し出すことであるし、日々会社などで自分の意見を言うことも、差し出す行為の一種なのかな、と思う。
 日々人とコミュニケーションする中で、差し出し方と言うのをあまり明確に意識したこともあるような、ないような。それで一度、この本を読んでみようと思った。

 最初は博物館の照明デザイナーの話で、展示物をどう見せるか、いまだにどう使われたか分からないものをどのように見せるか、という話はとても面白かった。
 美術館や博物館に行ったらもっと照明とかも気にして見ないといけないな、と。
 先日みた蔡國強の展覧会は壁で仕切らず大きな部屋に作品が並んでいたけど、あれは照明は難しかっただろうな。

 あとはソムリエの方の話が面白かった。ワインを差し出す時、己を消すみたいな話があって、ワインというものを媒介するという役割がソムリエなんだな、と改めて。
 自分が作ったものを差し出す時はどう差し出すのが良いのだろう、と思った。例えばこのnoteとか。

 いろいろなことを考えながら読める一冊でした。
 各インタビューの後には解説のようなものもあるので、インタビューの背景なども見えて面白くったです。
 ただ、基本的に本のディレクターの方なので、本の話に帰結していくので、なんとなく一冊丸ごと本についての本を読んだな、という感じがする。
 いかに人を本と出会わせるか、という仕事の奥深さを感じ取れる一冊。これが仕事として成り立つというのは夢があるな、と思うし、仕事を作っていくというのはすごいことなのだな、と思った。

 つくづく、もっと自分のことを考えて就職活動すれば良かったな、と今更ながら思わされる。本に関わる仕事がしたかったな、と。
 最近、自分の浅い考えに気付かされることが本当に多くてつらい。


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