「降伏の記録」
引き続きの、植本一子さん。Amazonレビューでは賛否両論真っ二つ感がある。
これも変わらずの文章のうまさ、描写の素晴らしさが光る本だな、と思う。淡々としていながらも切実で真摯な気持ちはすごく伝わってくる。
最後の章の「降伏の記録」だけはあまり共感できなかった。様々な葛藤を抱えているのは分かるし、苦しさもとても伝わってきてなんともいえない気持ちというのもひしひしと感じる。
しかし、先生と呼ぶおそらく専門知識のない方に話を聞いてもらってアドバイスを受けるのはとても危ういと感じる。抱えきれない葛藤を抱えていることは理解するけれど、そういう時こそ、調べるのは大変だとは思うが、専門知識のある人につながってほしいと切に思う。とても危ういと感じてしまった。(のちに出た「愛は時間がかかる」でちゃんと専門家につながっていたのでホッとしたが)
その危うさの上で書かれた最後の章はちょっと同意はできないが、それだけ追い詰められていたのだな、と思った。最後のこの章は読むのが辛かった。
これでおそらく初期の本を除いて、植本一子さんの本(同人誌除く)のほとんどを読んだと思うが、結構ディープな体験だったように思う。嵐のようだった。
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